どろ~んカーブでG斬り! 阪神岩本輝投手(22)が初の開幕ローテーション入りを確実にした。今季初対決となった巨人とのオープン戦に先発し6回4安打無失点。スローカーブで緩急をつける痛快ピッチで先発5番手争いから抜け出した。この日は「永久欠番デー」として開催され、全員が故藤村富美男氏の10番を背負った記念試合。5年目右腕が猛虎魂を発揮した。

 計測不能のスローカーブが、4番セペダの強振をあざ笑うように空を切らせた。6イニング目の最後の打者。落ち着き払って大仕事を終えた岩本が拍手の渦に包まれた。推定年俸700万円の22歳右腕が、1億円プレーヤーが並ぶ3連覇打線を圧倒。6回0封で初の開幕ローテをほぼ確実にし、充実の笑みを浮かべた。

 岩本 0で抑えられてよかったです。去年に比べてスピードも上がって、勝負できるようになりました。

 呉昇桓との1月グアム自主トレで体幹を鍛えた成果は本物。「軸足で強く蹴れ」との助言も守り、最速146キロを計時した。カーブとの緩急差は優に50キロ以上。改良ツーシームも効果的に配し、まともなスイングを許さず4安打に抑えた。

 レジェンドの猛虎魂も快投を後押ししたのか。この日は「永久欠番デー」。1958年(昭33)を最後に欠番となった故藤村富美男氏の10番が57年ぶりに復活。全員が背負って戦った。

 岩本 (10番は)意識してなかったです…。自分のことで精いっぱいでした。

 思わず頭をかいたが、伝説の猛虎とは縁がある。くしくも前回の巨人登板は昨年3月、プレ80周年イベントで行われた伊勢でのオープン戦。全ナインが西村幸生の19番を背負った試合で1回を0封した。沢村栄治らと渡り合った戦前の阪神エースをほうふつさせる力投だった。再び巡ってきた1日限りのメモリアルデーに先発するのも導きか。G倒に燃えた大先輩に負けじと宿敵に立ちはだかった。

 和田監督 向かっていく姿勢が出ていた。石崎も今度投げるし、競争というか、今日ぐらいの投球を見せてくれれば(先発に)近づいていくんじゃないかな。

 中西投手コーチ 真っすぐに力があったし、キレもあった。十分(先発で)いける投球内容だった。

 監督はドラフト2位石崎にも期待して慎重だったが中西コーチは合格を明言。開幕2カード目のヤクルト戦(神宮)が有力視される。だが本人に油断はない。

 岩本 いいアピールができたけど継続が大事なのでこれからです。ローテに入れるよう開幕まで毎試合毎試合アピールし続けたい。

 12年にプロ初登板初勝利の鮮烈デビューを飾ったが、この2年間は登板わずか5試合。その悔しさを爆発させる時が来た。伝説の10番で魅せた快投から、新伝説をつくる。【松井清員】