ヤクルト先発の石川雅規投手(35)が、昨年6月11日の楽天戦以来となる完封勝利を挙げた。巨人相手の完封は07年9月13日以来、8年ぶり。9安打を許しながら、要所をシンカーで切り抜け、今季2勝目。無四死球で安定感ある投球を見せつけた。前日24日に復帰したウラディミール・バレンティン外野手(30)は、左大腿(だいたい)直筋肉離れのため登録抹消。石川が、主砲不在のチームを連勝に導き、貯金を今季最多の6に伸ばした。

 マウンドを降りてようやく、いつもの優しさが戻ってきた。9回2死一塁。34人目の打者・村田を二ゴロに抑えた。眉間にしわを寄せ、左手の拳に小さく力を入れた。今季初の完封勝利。巨人相手に、8年ぶりに無失点投球を披露した。歓喜に沸く球場内。試合後のお立ち台では、勝負師の顔から険しさが消えた。「本当にうれしい。打たせて取る。自分の投球ができた。チームも勝って自分にも勝ち星も付いたことは大きいですね」と喜んだ。

 バッテリー間で納得のいく投球だった。8回2死三塁。武器の変化球でしのいだ。好調の橋本に対して、フルカウントからの8球目。内角を突くシンカーで見逃しを奪った。「しっかりと腕を振って低めに投げられたことがよかった」。6回2死二塁では、アンダーソンを外角低めのシンカーで空振り三振。捕手の中村も「石川さんの代名詞といえば、シンカー。低めに集まっていたことが全て」と納得顔だった。

 多少のハンディも、いとわない。慢性的なへんとう炎持ちで、年間を通して高熱に悩まされる。4日のDeNA戦でも体調は万全ではなかったが、6回を投げ抜いた。3日に、39度の高熱が出ていた。「若い選手が出てきたら、その子を使うでしょ。ベテランだからって安心してられない。だから必死にやっている」。高熱が出ようと、関係ない。危機感を持ちながら、プロ14年目のシーズンまで生き抜いてきた。

 今季2勝目は、首位攻防戦を2連勝に導く大きな1勝となった。真中監督も「持ち味を生かして粘ってくれた。ナイスピッチング」と称賛した。チームは貯金を今季最多の6に伸ばし、首位の座を死守。主砲は1日で再離脱したけれど、ハートの熱い左腕がチームをけん引した。【栗田尚樹】

 ▼石川が9安打されながら無四死球で完封勝ち。ヤクルトの投手で9安打以上許して完封勝ちは09年7月22日館山(11安打)以来になる。石川の完封勝ちは昨年6月11日楽天戦以来8度目で、巨人戦では07年9月13日以来2度目。07年の完封勝ちも無四死球で記録しており、巨人戦で2度の無四死球完封勝ちは、66年に2度記録した村山(阪神)以来、49年ぶり。