悔しすぎる敗戦だ。阪神藤浪晋太郎投手(21)がプロ初の無四球完投を記録しながら3敗目を喫した。0-0の7回、それまで2三振ずつ奪っていた大田と新助っ人フランシスコに連打され、痛恨の失点。打線も援護できず完封負けを喫した。チームは5連勝も、勝率5割復帰も逃し、藤浪は5戦勝ちなし。敢闘賞より白星が欲しい…。

 無情の結末だ。間違いなく今季最高の藤浪に、黒星がついた。たった2球、ほんの数センチの狂いが命取りになってしまうとは…。

 「追いついても逆転しても、9回は投げるつもりでした」

 願いは届かなかった。8回99球で10三振を奪い、5安打1失点の3敗目。今季2度目の完投負けは、プロ初の無四球完投でもあった。今季初、巨人戦では自身初となる2桁奪三振も勝利には結びつかなかった。

 意識してテンポを速めての快投。重箱の隅をつつくように反省点を探すなら、0-0で迎えた7回裏の2球しかない。先頭4番大田への外角153キロが浮き、中堅フェンス直撃の二塁打を食らった。「もう少し低ければシングルかゴロになっていたかもしれない。自分の制球の甘さです」。

 無死二塁。5番フランシスコはカウント2-1から内角低めカットボールで空振り。再び内角カットボールで三振を狙うも、高めに浮いて痛打された。一塁線へのゴロはゴメスのグラブをはじき、決勝点を献上。「空振りを取っていたので、同じ球種で攻めた。もう少し低く投げれば詰まらせられたと思う」。

 5回6失点の前回4月25日広島戦とは見違える内容だった。遠投などで修正を図り、横振り気味だった腕の振りを縦に改良。制球もリズムも上々だった。たたき下ろす直球はスピンがかかって伸び、自己最速タイの157キロを計測。変化球の軸となったカットボールは鋭く斜めに消えた。

 「真っすぐは(押して)ファウルも取れていたし、すごく良かった。フォーム的にもすごく良かった。(今季)一番まとまった内容で投げられたと思います」

 シーズン初戦の3月29日中日戦に勝った後、5戦白星なし。シーズンに限れば巨人戦5連敗。敵地で自身7連敗。負のデータを消し去れず、チームの連勝を4で止める形となった。ただ、状態の急上昇は誰の目にも明らかだ。次回は中5日の8日広島戦が濃厚で、再び黒田と投げ合う可能性もある。確かな手ごたえをつかんだ敗戦。長いシーズンを戦う上で、右肩上がりとなるV字回復の分岐点にしたい。【佐井陽介】