神さま、仏さま、大野さま~! 中日が大野雄大投手(26)の完封で連敗を3で止めた。大野は今季2度目の完封でリーグトップタイの5勝目。終盤のピンチをしのいで、133球で1点を守り切った。不振の又吉が2軍降格し、ブルペンに不安を抱える中で、虎キラーが満点投球。1日で3位に再浮上した。

 133球目は自分のはるか頭上を越えていった。9回2死一、二塁でマートンに打たれた大飛球。大島が背走しながらつかむと数秒間、天を仰いだ。「抜けたと思った。ソワソワして勝った気がしなかった」。苦笑いの谷繁捕手が歩み寄ってくる。血の気を失っていた大野は、ようやく27個目のアウトを実感した。

 絶対に勝ちたかった。「チームにとっても僕にとっても」。コンビを組んだ監督は「初回から気迫がこもっていた」。直球に勢いが戻っていた。10日のヤクルト戦(秋田)は勝ちはしたが4失点。翌11日、横浜スタジアムでの練習中に谷繁兼任監督に呼ばれた。

 「もっと球を前で離せ」。約3分の短いアドバイスで問題点に気付かされた。5日間で腕の振りが体の近くを通るよう修正に努めた。その生き返った直球を操ったのも谷繁捕手だった。広いナゴヤドームの特性を生かし、直球でガンガン打者の内角をえぐった。

 8回1死一、二塁は狩野を3球直球で追い込み、ツーシームで狙い通りの遊ゴロ併殺。続投かどうかの判断を託された9回も迷わずマウンドに向かった。不振の又吉がこの日出場登録を抹消され、セットアッパー不在の苦境だった。「ブルペンを休ませるのが僕の仕事。今年はフル回転するつもりでいる」。わずか2安打しか許さず、マウンドに立ち続けた。

 阪神戦は3試合2勝無敗、防御率0・39のキラーぶり。4月7日ヤクルト戦(神宮)に続く1-0完封と精神力の強さも際立つ。チームの連敗を3で止める快投に、指揮官は「普段の練習から、すべてにおいて昨年と違う」と称賛した。昨年は監督に呼ばれるといえば、お小言ばかり。今年初のまともな会話だった今回は技術指導。自身も呼ばれたときに「説教ではないかな」と直感したという。成長を自他ともに実感できている証しだ。

 5勝以外に3完投、61回1/3の投球回などもリーグトップ。経験を重ねながらレベルアップを続ける左腕が頼もしい。【柏原誠】