阪神福留孝介外野手(38)がヤフオクドームの“呪縛”を解き放った。2回の先頭打者。ソフトバンク先発中田のフォークを振り抜いた。右翼スタンド中段へ。テラス席の恩恵など必要のなしの7号ソロで先制点をもたらした。

 福留 力まずに振れるところはあるよね。打者としては楽だけど、投手は大変だろうね。

 テラス席の出現で打者有利に変貌したヤフオクドームでの猛虎1号を、福留はこう振り返った。打線は前日、大隣に完封負け。じつは昨年の日本シリーズ第4戦から26イニング連続で無得点が続いていた。だが、福留にとっては、この試合まで打率4割7厘と無類の強さを誇る球場。今年はさらに肩の力を抜いて打席に入れるようになった敵地で大きな仕事をした。

 6回には速球をたたくと今度はテラス席フェンス上部に当たる三塁打で好機をつくった。

 福留 (中田は中日時代に)後ろで守りながら見ていたこともあるし1球でうまく仕留められたのはよかったんじゃないかな。

 福留は中日時代から投手陣のフォームをまねるのが抜群にうまかった。同時に投手の傾向をとらえることやクセを見抜くことにもたけていた。その洞察力に若手投手たちは戦々恐々だった。かつての記憶を呼び起こしての中田撃ち。本塁打も三塁打も、ともに1球で仕留めたものだった。

 福留 疲れたね。1つ勝つのは大変だね。

 試合後はそう言って、少し笑うとバスに乗り込んだ。その表情には心地よい疲労感がにじんでいた。【鈴木忠平】

 ▼福留のヤフオクドームでの本塁打は、中日時代の06年5月27日ソフトバンク戦で寺原から打って以来2本目。鳥谷の同球場での本塁打はプロ初。阪神の1試合チーム2本塁打は最多タイで、今季5度目。5月22日DeNA戦(横浜)以来で、このときも鳥谷(2回2ラン)と福留(3回ソロ)のそろい踏みだった。