サヨナラの打球がレフトに落ちると同時に、QVCマリンに「ロッキー勝利のテーマ」が流れた。諦めきれない沢村は、本塁のカバーディフェンスに全力疾走していた。現実を見届け、腰に手を置き、肩で息をついた。巨人の交流戦は7勝11敗で終わった。
誰もが高木勇人の完封勝利を確信していた。被安打4、たった95球で最終回を迎えた。先頭の鈴木は平凡な三ゴロだった。巻き戻せば、名手井端が捕球した瞬間が幕開けだった。
グラブに収めたボールを持ち替えるはずが「つかめなかった」。自身の猛打賞は「エラーの方が痛い」と吹っ飛んだ。無死一塁でいやらしい角中。振ってくれたはずの低めを見逃され、3-1になった。急にボールが浮き出した。「勉強不足。迷惑を掛けた。『低めに』と思ったが。悔しい」。ゴールが見えて心に揺らぎが生じ、制球も揺らいだ。角中は打ち取るも、クルーズ、福浦への若いカウントでの変化球が甘い。「ゲッツーを」の思惑が狂い、連打で1点差。なお二、三塁とされ沢村に託した。
沢村は今江に、外角150キロで力勝負を挑んで屈し、ライトへ同点打を運ばれた。原辰徳監督(56)がベンチから駆けた。「(四球でも)一塁が空いている。余裕を持って」と落ち着かせようとした。2死満塁までこぎつけるも、最後はシュート回転した直球を合わされ、ロッテ戦3連敗が決まった。
大きく試合を巻き戻せば、打線が援護できなかったことに尽きた。5回に2点を先制するも、内訳はイレギュラーの適時打と押し出し死球。3回の1死満塁、2点を奪った後の5回1死満塁。何でもいいから加点したかった。スイング力の不足。交流戦で突きつけられた課題が最後まで首をもたげた。原監督は「心技体を整えて、いい状態でペナントレースに。元気な人で戦う」。首位で戻るセの雄。パが教えてくれた現実を受け止め克服し、晩秋にお返しする。【宮下敬至】
▼巨人は7勝11敗、勝率3割8分9厘で今季の交流戦を終了。巨人にとって交流戦の勝率は06年の3割6分1厘に次いで悪く、11位は06年に並ぶ最低順位だ。巨人の貯金は2まで減ったものの、2位DeNAに1・5ゲーム差をつけ首位をキープ。79年中日が50試合消化時の6月15日に23勝21敗6分け、勝率5割2分3厘で首位に立っているが、今季の巨人はすでに66試合。60試合以上消化して「貯金2の首位」はプロ野球史上初めてだ。リーグ戦再開後の巨人は19日から借金5の中日と3連戦。他球団の結果次第では、史上初の借金球団の首位が誕生するかもしれない。
▼14日の交流戦はパ・リーグ6球団が全勝した。交流戦で同一リーグ球団の1日6勝は14年6月15日(セ6勝)以来6度目。パの6勝は07年5月22日以来、8年ぶり4度目となった。これで今季はパの60勝43敗3分け(勝率5割8分3厘)。過去の交流戦でリーグ対戦成績の最高勝率は10年パの5割7分9厘(81勝59敗4分け)で、パは残り2試合で1勝すれば史上最高勝率で終える。



