巨人が「リ・スタート」に失敗した。8回から継投に入るも救援陣が3点リードを守れず、中日に延長負けでリーグ再開の初戦を落とした。原辰徳監督(56)が命名した「リ・スタート打線」は、1番に起用した長野を筆頭に機能。相手先発の大野を攻略した直後に暗転した。首位は変わらないものの貯金はわずか1で、最下位の広島まで3・5ゲーム差。シーズン折り返し点を前に、セ界は超が付く混戦となった。

 1点リードの9回表が、1点を追う9回裏に変わった。ベンチに戻った沢村はまばたきすらしなかった。実松は歯を食いしばって感情の決壊をこらえた。石仏と化した2人の姿が「リ・スタート」に失敗した事の重大さを象徴していた。延長のブルペンも激流にのまれた。最後は宮国が中日平田に3ランを食い、巨人の貯金は1まで目減りした。

 剛腕・大野を肝いりの「リ・スタート打線」が沈めた。同点の7回。先頭相川の二塁打をのろしとし、代走鈴木を絡めて無死一、三塁で長野だった。新リードオフマンは、2ストライクと引き換えに盗塁を待ち、コンパクトな射抜きで前進守備を突破した。井端、亀井もすかさず続いて3得点。逃げ切るだけだった。

 8回のマシソン、山口。9回、登板直後の沢村。四球で自分を苦しめ、リードを吐き出していった。“抑え捕手”として8回から投入された実松も、逆に傷を広げた。8回2死満塁、山口の初球。大きなチェンジアップを捕逸し1点差になった。9回無死一塁、沢村の鋭角なフォークも捕逸した。同点は併殺打の間で、5番森野を前に2死無走者のリセット状態に。にもかかわらず、直球中心の手詰まり感が漂った。3連打で勝ち越され、延長10回1死一、二塁で交代した宮国のケアも足りず、初球の甘いスライダーを放り込まれた。

 リーグ戦再開を前に原監督が命名した「リ・スタート打線」が稼働しながら、盤石だったバッテリーが呼応できなかった。沢村も実松も「僕が悪い」と異口同音だった。原監督は、新打線を「全体的に、いい時間を使って(リーグ戦を)迎えてくれた」と評価。憤まんやる方ないはずの終盤は「8、9回。役割を持った人たちをマウンドに上げた。2イニングで出した四球がすべてでは」と、都合4個の四球に集約させた。歴史的混戦が幕を開けようとしている。【宮下敬至】

 ▼3点リードを守れなかった巨人が今季4度目の4連敗。5日ソフトバンク戦からは1勝9敗となり、巨人が10試合で9敗は9連敗した06年7月以来になる。ついに巨人の貯金は1。これまで最も試合を消化した時点の貯金1首位は、巨人と阪神が29試合目の15勝14敗で同率首位だった04年5月7日。60試合以上消化して貯金1のチームが首位はプロ野球史上初めて。巨人が今日の中日戦に敗れると、セ・リーグは貯金チームがなくなる。