この借りはきっと返す。真っ暗闇の東京ドームで、阪神福留孝介外野手(38)は必死に勝利の出口を探した。相性のいい巨人菅野から4回に18号同点ソロ。1回と6回にも二塁打を放ち、3長打を浴びせた。巨人突き放しには失敗したが、このベテランがいる限り、ペナントレースはまだまだ戦える。
衝撃が走るサヨナラ敗戦だった。三塁側ベンチ裏からバスへの帰路。遠くでこだまする巨人ファンの大声援…。厳しい現実を目の当たりにしても福留はうつむかない。40段の階段。目の前に藤浪がいた。援護できなかった責任が口をつく。
「晋太郎も頑張っていたし、何とか勝ちをつけてあげたかった。次回、野手としても何とか、やっていかないといけない」
難攻不落のエース菅野を相手にベテランのすごみが際立った。1点を追う4回は先頭で打席へ。初球だ。甘いカーブが飛び込む。完璧にとらえると高々と舞う打球はオレンジ色の右翼席へ。18号ソロで同点に追いついた。「狙っていない。とにかく、塁に出ようと思った。タイミングが合えばね。いい投手だし、積極的にという気持ちだった」。苦戦必至の右腕をとらえ、五分の戦いに引き戻した。
1回も簡単に2死になったあとに左中間二塁打をマーク。6回も2死後から思い切り引っ張り、ライナーでの二塁打になる。この日の試合前まで菅野との対戦成績は10打数5安打。大一番でも相性の良さを見せつけた。11日中日戦で右手中指の第2関節付近を痛め、傷はまだ癒えていない。この日のアーチも軽い荒木の黒バットを拝借して打ったもの。万全でなくても、最善を尽くす。巨人の地力を見せつけられた戦いだったが、前を見据えて言う。
「気を抜ける戦いは1試合もない。それは全員が分かっている。もう1度ホームに帰って、しっかりと準備して、しっかりと明日戦う。今日で終わりじゃない。明日も続くわけだから」
18日の巨人3連戦初戦。6回に7点差をつけられ、なおも1死一、三塁。小林の右飛に左腕を目いっぱい高く上げて捕球し、素早い本塁送球でタッチアップを防いだ。大差でも接戦のようなプレーを貫き、執念を見せる。局面に惑わされずワンプレーに自分を出し切るのだ。慌てず、動じず、優勝争いを戦い抜く。【酒井俊作】



