オリックスが今季113試合目で初めて最下位を脱出した。主将糸井嘉男外野手(34)が1回に先制13号ソロ。虎の子の1点をエース金子千尋投手(31)が7回無失点で守り、平野佳、佐藤達との0封リレーを完結させた。昨季はソフトバンクに次ぐ2厘差の2位に躍進し、大型補強でV候補と目されながら低迷。森脇監督も休養に追い込まれたオリックスが「招かれざる定位置」を抜け出し、奇跡の3位を目指す。
最下位脱出を導いたのはエース金子の意地だった。「勝てば順位が変わるのは試合前から知っていました」。オリックス勝ち、楽天負けで5位浮上のチャンスは何度もあったが全部失敗。「チームが勝たないとうれしくない」と、1点が重い則本との投げ合いに闘志全開だった。最速148キロの直球と多彩な変化球で7回を4安打0封。開幕戦から最終戦まで全試合テールなら球界でも異例の屈辱だったが、113試合目にして泥沼からすくい上げた。
誤算続きの1年だった。昨季はソフトバンクと勝率2厘差の2位に躍進。ブランコ、中島、小谷野、バリントンらの大型補強を敢行し、V候補筆頭と目された。だが金子が右肘手術の影響で開幕を回避した西武戦3連敗に始まり、補強した4人の主力や比嘉、平野佳、佐藤達ら救援陣も次々と故障。5月31日に自力優勝が消滅し、6月初旬に森脇監督が休養に追い込まれた。FA残留した右腕もエースの責任を感じていた。
「期待された中で始まって、僕たちもファンの人たちも誰も予想してなかったと思う」。金子も1軍初先発が5月末まで遅れた。もどかしい日々…。「現実を受け止めて、週1回の先発でどう貢献できるかだけを考えて」、7個の白星を重ねた。高山投手コーチは7回94球の交代に「理由はあるけど言いません」と言葉を濁したが、文字通り体を張った脱出劇だった。
残り30試合、5位浮上だけでは満足はしない。「3位になるために1つずつ順位を上げていくことが大事になる」。3位西武まで7ゲーム差。奇跡の大逆転CSへ、エースがネバーギブアップで引っ張る。【松井清員】



