日本ハム吉川光夫投手(27)が3年ぶりの2桁、10勝目を飾った。ソフトバンク打線を6回途中7安打1失点。4四死球と制球に苦しみながら要所を締め、リードを保ち救援陣につないだ。自身は14勝でリーグMVPに輝いた12年以来、チームでは13勝の大谷に続き今季2人目の2桁勝利となった。
小さくほほ笑んだ。吉川が、納得の表情で降板した。6回1死一、二塁。栗山監督に交代を告げられ、中継ぎ陣へとバトンを託した。大勝へと導く、全身全霊の力投。かすかに残る反攻の可能性が少し膨らむ、希望の1勝を導いた。「気持ちでいかないと、抑えられない打線。強い気持ちでいった」。自信を深めたパフォーマンスだった。
荒々しく、ソフトバンク打線と、胸と胸を突き合わせた。最後の望みをかけた、天王山3連戦の初戦。立ち上がりから高低、内外角と制球が乱れた。1回に内川の適時打で先制点を献上し、開き直った。逆転してもらった直後の2回は中村、上林に厳しく内角を突いて2死球も無失点。「あそこは(内角へ)いくしかない。しょうがない」。腹をくくり短所とも紙一重、特長にもなる荒れ球を生かし、力勝負を挑み続けた。肩で息をしながら5回1/3、108球を全力で投げ切った。
最低限の使命を果たし10勝目。14勝した12年以来、3年ぶりの2桁白星に到達した。低迷した2年間を乗り越え、迎えた節目は運命的。ソフトバンク工藤監督は体格、スローカーブを持つなどタイプが似通った同じ左腕。敵将が監督就任前に顔を合わすと、エールをもらっていた。「オレさ、小さなサウスポーが好きなんだよ」。ぶっきらぼうで具体的な助言はなくとも、折れそうな心に染みた。恩返しできた。「内角をしっかり投げられた。次の投手につながると思う」。今日の2戦目を託す有原、3戦目の中村へも贈る熱投。価値ある仕事をした。【高山通史】



