鮮烈シュートを披露した。ヤクルトのドラフト1位の原樹理投手(22=東洋大)がプロ初先発。初回に1死一、三塁とピンチを招くも、武器のシュートで後続を連続三振に仕留めた。2回には宝刀でバットをへし折るなど、持ち味を最大限にアピール。好デビューで開幕ローテ入りへ1歩前進した。

 招いたピンチに原樹は、シュートを選択した。初回1死一、三塁でカウントは2-2。143キロの武器が、右打者・陽川の手元でグッとコースを変えた。ツーシームのような沈む軌道ではなく、横にスライド。内角にえぐり込んだ。「いきなりピンチで心が折れそうだったけど自分の投球ができた」。内角に押し込むだけではない。次打者のペレスは、目線を遠ざけた。フルカウントからの7球目。左打者にとっては逃げるような軌道を描き、外角低めに沈めた。2安打でピンチを招きながらも、宝刀でかわしてみせた。

 横滑りのシュートは、威力も抜群。0-0の2回先頭では、梅野のバットを真っ二つにへし折った。137キロを内角高めに押し込み、三ゴロに仕留めた。「理想の形。右打者にも左打者にもインコースを攻められた」と手応えをつかんだ。バックネット裏で視察した巨人中里スコアラーは「分かっていても打てない球」と目を細めた。

 打者の懐を攻める強気な姿勢は、マウンドに上がるまでしまい込む。勝負の時以外は、正反対のネガティブ思考。初の打撃投手に登板した前日の11日、「自分なんかは通用しない…」と本音をのぞかせた。練習の合間に疲労回復のためのネックレスとブレスレットを試着すると「これで野球がうまくならないかな…。急にすごい球とか投げられたらいいんですけどね」と、すがりたい思いをついついこぼす。投球時とは大きなギャップ。スイッチの切り替えが、原樹の特徴だ。

 マウンドに上がれば、強靱(きょうじん)な精神力を身にまとう、別人となる。プロ初の登板にも「自分の持ち味であるシュートの精度も確認できた」と堂々と振る舞った。2回を3安打無失点。真中監督も「ランナーを出しても、周りに惑わされずに自分の投球ができた。(開幕ローテは)十分にチャンスはある」と太鼓判を押した。次回登板は3月3日のDeNAとのオープン戦(横浜)。原樹は「今日は60点です」と辛口だが、上々のデビューをシュートで彩った。【栗田尚樹】

<原樹理・アラカルト>

 ◆生まれと球歴 1993年(平5)7月19日、兵庫・加古川市生まれ。東洋大姫路高から東洋大。15年ドラフト1位。

 ◆サイズ 180センチ、79キロ。

 ◆父 82歳の父敏行さんは、声楽家。大学などで講師も務めていた。

 ◆兄弟 長男は玲奈(れいな)さん、次男は理恵(ちさと)さん。父敏行さんによれば、3人の名前の由来は「響きを大事にしている」。「樹理」は「理性が幹のように生い茂っているような子に」という願いが込められている。

 ◆好きな歌手 AAA(トリプルエー)。「何かリズムとかが好きなんですよね」。

 ◆ニックネーム 「ジュリ」。

 ◆好きな色 「紺色です。落ち着いた色が好きです。グラブも紺色ですし、私服も派手な色は少ないですね」。

 ◆好きな食べ物 ハンバーグ。

 ◆座右の銘 「人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない。何かを得るためには、同等の代価が必要になる」。人気少年漫画「鋼の錬金術師」の有名なせりふ。