巨人には最速のジョーカーがいる。鈴木尚広外野手(37)が今季初盗塁でチームを4カードぶりの勝ち越し、首位堅持に導いた。
同点の8回無死一塁。代走を告げられた。誰もが盗塁を仕掛けてくると感知し、警戒レベルを高めてくる場面。それでも鈴木は走ることを求められる。相手は広島のセットアッパー、ジャクソン。「対戦があった投手。傾向は頭の中にあった」。2週間前の“対戦”を脳内に蓄積された膨大な資料から引っ張り出す。打者対投手ではなく、走者対投手としてのデータだ。前回は盗塁を仕掛けることなく、立岡の適時二塁打で局面は決していた。それでも間合いの研究は終えていた。
2球連続のけん制、1球のボール。「早いカウントで勝負しようと」。自分本位なタイミングではなく、打者のこともおもんばかる。意を決してスタートを切った。37歳にして球界最高峰の俊足で二塁に到達した。昨季まで218盗塁を積み上げてきた男が、今年初めて盗塁を刻んだ。「時間かかったけど、0と1では大きく違う」。出場8戦目の初盗塁を振り返った。
亀井の進塁打、村田の決勝適時打で鈴木のお膳立ては勝利となり実を結んだ。高橋監督は8回の攻撃を「先頭が出て、尚広が走って、みんながベストの仕事をした」と評した。鈴木は言う。「勝利に貢献できてよかった。今後は1から2、2から3にできるように」。勝利へ、優勝へ、鈴木が走り続ける。



