意地の一打だ! 日本ハム中田翔内野手(27)が1点を追う8回2死一、二塁から、一時逆転となる2点適時二塁打を放った。前打者の大谷が敬遠気味の四球で歩かされ、巡ってきた打席。終盤の好機で4番の意地を見せた。チームにとっても、今シリーズ3試合目で初の適時打。延長10回の接戦を制してシリーズ戦績を1勝2敗とし、第4戦以降につなげた。
バットのグリップエンドに両手を置き、しゃがみ込んだ。太い二の腕の間に、顔を収めた。1点を追う8回2死二塁。ネクストバッターズサークルで中田は心を落ち着かせていた。「(大谷を)歩かすんだろうなと。配球のことを考えた」。2死一、二塁。燃えた。2ボールから136キロのスライダーを左前へ。「(バットの)ど先だった。早く落ちてくれ」。祈った。
ふらっと上がった打球は、左翼手の足元ではずんだ。後逸を呼び、逆転2点適時二塁打。右拳を下から突き上げた。札幌ドームが揺れた。4番の意地が、爆発した。「うれしかったね」。日本シリーズ3戦目でチーム初の適時打。「それは、どうでもいいね」とバッサリ切り捨てたが、嫌な流れも吹き飛ばした。延長10回もネクストで「翔平決めてくれ」。2度目の祈りも通じた。
4番だから、チームの勝利を誰よりも渇望する。16日のCSファイナルステージ第5戦。初回に4点を先行されたが、2回に反撃のソロ本塁打。心の中では喜びながらも「ここで笑顔を見せたら士気が高まらん」とグッと我慢。チームのために仏頂面を貫き、控えた喜びは4回に逆転した瞬間に爆発させた。ベンチで立ち上がり、声も出しながら歓喜を体全体で表現したが、周囲は意外と冷静。1人で騒いで「恥ずかしかった」と反省したが、確信したこともあった。
中田 CSもそうだけど、ウチは土壇場でチームが1つになる強さがある。
栗山監督も「調子が悪くても打てる可能性を感じられる」からこそ、4番を任せ続ける。負ければ日本一奪回へ後がなくなる状況で、期待に応えたことが全てだ。広島出身で幼少期から憧れていた黒田は3度目の対戦の前にアクシデントで降板した。1回は1死二、三塁で遊ゴロ。4回は無死二塁で二飛。2打数無安打で「全然ノー感じだったけど、個人的にはうれしかった」。心に刻んだ勝負とともに、まずは反撃開始の1勝目もつかんだ。「これから巻き返していきます」。視線は日本一しか、見えていない。【木下大輔】



