大明神糸井だ! 阪神糸井嘉男外野手(35)に苦手はない。チームが昨季0勝5敗と苦しんだ巨人田口から初回に右前打。降雨ノーゲームでヒットは幻になったが、虎ファンにFA戦士の頼もしい姿を披露した。開幕広島戦でも通算1勝6敗だったジョンソンから2安打し、7日は通算0勝3敗だった巨人マイコラスからも2安打。金本阪神に“天敵キラー”が誕生の予感だ。
糸井はタオルを首にかけ、ベンチの前列に身を乗り出した。手のひらを天に向け、雨の強さを確認。まだやみそうになかった。間もなく、審判が中止を宣告。3回表でノーゲームとなった。「何もないでしょう…」。多くを語らずに、足早にクラブハウスに引き揚げた。好調の3番打者にとっては、1本ヒットを損した。しかし記録には残らないが、相手に嫌なイメージを植えつけるには十分だった。
昨年までのデータは糸井には無関係だった。頼もしすぎる打撃は初回だ。上本が四球で歩き、1死一塁。左腕田口の甘く入ったスライダーを強振した。打球は右前に駆けていった。上本がスタートを切っていたため、一、三塁にチャンスは拡大。先制点にはつながらなかったが、相手に重圧をかけた。試合が成立していれば、開幕8戦で7試合に安打を記録するところだった。
猛虎が苦手とする投手を、糸井は事もなげに攻略する。この日対戦した田口には昨年、6戦で5敗を喫した。防御率は1・67と抑え込まれた。開幕戦の左腕ジョンソンや巨人マイコラスに対しては、いずれもマルチ安打。左投手には、幻の1安打を含めると、4打数3安打、打率7割5分になる。現時点では死角が見当たらない。
セ・リーグは巨人と広島が前評判通りに力を発揮し、上位2球団で貯金を「占拠」している。この現状にも、金本監督が動じることはない。「全然関係ない。何にも気にならない。そんなことよりも、自分たちのパターンというか、やるべきことをしっかりやる」。先発陣が本調子を欠き、野手に失策が目立つという課題はある。それでも昨年との違いは、糸井が打線の軸となり、突破口を開くところにある。苦手攻略はお任せ-。頼れる新戦力だ。【田口真一郎】



