DeNA今永昇太投手(23)がヤクルトを完封し、4勝目を挙げた。変化球を自在に操って最速149キロの直球を内角に強調させ、4安打に封じ込めた。ルーキーイヤーには疲労で穴をあけた6月下旬に、今季2度目のシャットアウト。左肘痛から復帰した石田、ドラ1浜口とともに、Aクラスを固める強力な左腕の3本柱が立ちつつある。

 自軍の攻撃が2死になると、今永はベンチ前に出た。左足一本でケンケンしたり、立ったまま止まったり…9回も丁寧にキャッチボールした。マウンドと同じようにユニホームの股関節まわりにシワが入り、上半身は適度に前傾していた。「いつも失点してしまう4回を越え『いけるのでは』と」。プレート板の前、赤土を丁寧にならし、141球目の中飛を見届け、控えめに両こぶしを握った。

 「コントロールで勝負している。4個の四球。うち3個が先頭。もっと球数少なくいける。反省です」と辛い評価をした。ただ投球の内訳を見れば、いかに自分の土俵で勝負を貫いていたか分かった。打者34人に対し、初球ストライク22人。12度の初球ボールは「状態がいい」とマークしていた坂口に対して3度。2ボールは5回で、うち2回は坂口に対して慎重を重ねたもの。与四球が完封の足かせとなる気配はなかった。

 湿度70%台の蒸し暑さが指のかかりをアシストした。ただ、最速149キロの球威も、「直球とチェンジアップ。意外と良かった」とする投げ分けも、好条件だけを根拠とするには説明しきれないデキだった。