男に言い訳は無用だ。巨人村田修一内野手(36)がエースを1発で乗せた。初回2死一、二塁。初対戦のDeNA先発飯塚の外角高めのカットボールに合わせた。力感のない一振り。水平に近いスイング軌道で、ボールを右方向へ押し出した。かつての庭で、狭い横浜スタジアムなら効率的に力を加えれば打球は最短距離で右翼席に届く。5試合ぶりの6号3ランで、決して本調子でなかった菅野を解き放った。

 「あまり状態はよくない」。交流戦後、レギュラーを奪回したが、最近は調子がやや停滞している。ここ5試合は21打数3安打。前日21日は8回に右翼ポール際に大飛球を放つも約1メートル右に曲がりファウルとなった。「感触? ファウルだから何ともね。結局、5打席凡退したから」。首をひねるが、試合に出続ける以上、好不調の波にかかわらず、結果を示さなければいけないことは自覚している。

 脳裏に刻まれた放物線が不調時の引き出しとなった。日大時代、繰り返し見た打撃像がある。「小久保さんと井口さんが目標だった。井口さんは右方向にホームランを打てる。ああいう本塁打を打ちたいと思って映像を見ていました」。右方向への長打は何度も苦境から救ってくれた。この夜もそうだった。

 まだ確信はない。「その後、打てれば良かったけど、もうちょっといい内容でね。でも反省しながら明日に向かっていかないといけないわけだから」。村田はバットで雄弁に語り続ける。【広重竜太郎】