メッツからフリーエージェント(FA)となった青木宣親外野手(36)がヤクルトに7年ぶりに復帰することが29日、決定的となった。今季もメジャーでのプレーを第一に交渉をしてきたが、まとまらなかった模様。メジャー希望を尊重しながら3年総額10億円(推定)の大型契約と入団時の背番号「23」を用意して待ってくれた古巣への感謝や愛着から、決断に至ったようだ。近日中にも「ヤクルト青木」が復活し、2月の春季キャンプ(浦添)には途中合流することになりそうだ。

 青木が悩み抜いた末、古巣ヤクルトへの復帰を決めた。昨年12月の米ハワイでの名球会総会で「米国で今は探しています」と断言するなど、今季もメジャーでのプレーを強く望んできた。代理人は数球団と交渉したようだが、合意までには至らなかった。

 メジャーのFA市場の動きが遅く、去就が不透明な中でも、青木の希望を尊重しながら気に掛けていたのがヤクルトだった。メジャーリーガーを迎え入れるのにふさわしい、3年総額10億円(推定)の大型契約と、入団1年目の背番号「23」を用意する模様。青木は米国第一の望みを応援してくれた配慮と、成長の礎を築いてくれた古巣への愛着、昨季球団ワーストの96敗と不振にあえぐチームの役に立ちたいという思いから、結論を導いたようだ。

 職人的なバットコントロールは健在だ。昨季はWBC日本代表に唯一のメジャーリーガーとして出場。シーズンでは、アストロズ-ブルージェイズ-メッツと3球団を渡り歩く中で110試合に出場し、打率2割7分7厘、5本塁打を記録した。17年6月に日米通算2000安打を達成するなど、NPB時代に「安打製造機」と称された打撃力に、磨きがかかっている。

 昨季は借金51の最下位に沈んだヤクルトにとって、青木の加入がもたらす影響は計り知れない。ミート力と勝負強さを兼ね備える青木は、3番での起用が予想される。そうなれば15年から2年連続トリプルスリーの山田哲を、打順が最も多く巡ってくる1番に据えることが可能になる。出塁率の高い山田哲を青木がかえす得点パターンが確立できれば、昨季リーグ最少だった473得点からの大幅増が期待できる。

 グラウンド外でも最高の“お手本”になる。新主将の中村が27歳と若返りを図るチームのまとめ役になれるだけでなく、経験豊富で野球に真摯(しんし)に打ち込む青木とプレーすることは、若手の成長を大きく促すことになるだろう。

 今オフのヤクルトは新外国人投手を3人獲得したものの、野手で大きな動きはなかった。そんな中、キャンプイン直前で、ファンも待ち望んできた最大かつ最高の補強を敢行。名実ともに球団史に名を連ねる青木が、海の向こうでひと回り大きく成長した姿で、7年ぶりに神宮に帰ってくる。