これぞ甲子園打法だ! 阪神糸井嘉男外野手(36)が沖縄・宜野座キャンプ初日となる1日、ランチ特打で左方向への柵越えを量産した。本拠地甲子園は右翼から左翼へ吹く強風「浜風」が有名。虎の歴代左打者はこの“天敵”に悩まされてきたが、追い風となる左方向への1発が増えれば鬼に金棒だ。昨季17発だったアーチを一気に増やす「スーパーな糸井」に期待したくなる。

 糸井は帰路に就くタクシーの扉を閉める直前、1年前を思い返してニヤリと笑った。

 「プールやからね。また、プール行きたなってきた!」

 FA移籍1年目は1月に右膝関節炎を発症。沖縄キャンプ初日は滞在わずか30分間で宜野座球場を離れ、プールトレーニングができる温泉施設に移動した。温水につかっていたあの日と今を比較すれば…。ドヤ顔で早速糸井節を決めたくなるのもうなずける。

 虎2年目のキャンプ初日。福留、鳥谷と共にランチ特打メンバーに入ると、豪快なアーチショーを披露した。60スイングで柵越え17発。その内容に進化が隠されていた。右中間席奥の照明灯ポールに直撃させたかと思えば、5連発でも南国の虎党を沸かせた。推定130メートルはくだらない飛距離は健在。そして何より、左方向へ繰り出す大飛球の数々に誰もが目を丸くした。

 17発の内訳は左方向に6発、中堅方向に2発、右方向に9発。ライナー性の角度でも軽々と左翼フェンスを越した。本拠地甲子園は右翼から左翼への強風、通称「浜風」が左打者の飛球に立ちはだかる。このため掛布もバースも、浜風がフォローとなる左方向にも大飛球を放ち、成功を手にしてきた。この日の打球方向を見れば、昨年17発からの増産を期待したくなる。昨季は結局、2月の沖縄キャンプは別メニュー調整に専念。シーズンでは打率2割9分、17本塁打、62打点、チームトップの21盗塁を記録したが、7月には「右脇腹の筋挫傷」で1カ月の長期離脱を強いられた。昨年12月に行った自己採点は冗談まじりながら、100点満点中の「2点!」。「来年はホンマにスーパーな糸井でいきたいと思います!」と誓っていた。

 スーパーな糸井-。その一端を、早くも2月1日から見せつけた形だ。球場を去る間際には「ボチボチ!」と満面の笑み。控えめな言葉よりも、その表情の方が説得力を持っていた。【佐井陽介】