相手ルーキーの想定を上回る速さだった。3回2死走者なし。西武金子侑はオリックス・ディクソンに遊撃へゴロを打たされた。が、「何があるか分からない」と全力疾走を怠らない。オリックスのドラフト3位福田周平内野手(25=NTT東日本)は正面で捕球し一塁へ投げたが、金子侑の足の方が、わずかに早く先に着いた。内野安打とし、次の源田の右前打で一気に三塁へ。さらに、森の左前打が続き、先制ホームを踏んだ。16年の盗塁王は「どんな形でも塁に出るのが仕事。後ろの人たちもつないでくれた」と、してやったりだった。

 辻監督はニヤリと笑った。「ああいうのが必要。福田はルーキーでしょう。『あれでセーフか』と思ったはず。プロのスピードは違う。次は急がないといけない。そしたら、エラーが出る。足は戦力。よく走ってくれている」。開幕前にプロの洗礼を浴びせ、満足そうだった。

 金子侑は主戦場の左翼ではなく「1番中堅」で先発出場した。日本代表に参加中の秋山の定位置だ。侍のいぬ間に「うっすらですけど『センターもできるぞ』という気持ちはありました」とアピールした。6回には右前打を放ち、2安打2得点。スピードスターが光った。【古川真弥】