星野さんに勇姿を-。阪神福留孝介外野手(40)が、明日10日のオープン戦中日戦(甲子園)に志願出場する。同試合は1月4日に亡くなった星野仙一元監督(享年70)の追悼試合として開催される。プロ入り時の監督で、福留にとって思いは特別。今季初登場の甲子園で、天国の恩師に今季も健在を届ける。

 恩師への強い思いが、福留を動かした。予定されていたオープン戦出場はまだ先。だが福留は特別な試合への出場を、片岡ヘッド兼打撃コーチに直訴した。甲子園で開催される明日10日の中日戦は、1月に急逝した星野仙一氏の追悼試合。中日入団時の監督で、プロへ導いてくれた恩師だ。少しでも弔うことが出来れば…。言葉を選びながら、意気込みとは違う口調で言葉を紡いだ。

 福留 やっぱりこのチームで選手と監督として関係があるのは僕だと思う。そういうゲームで、少しでも、というのもある。何打席になるかわからないですけど、少しでも出て。それが(星野)監督に対しての供養になるのか分からないですけど。やっぱり今まで育ててもらったという感謝の気持ちを込めながら臨めればと思います。

 すべての道を照らしてくれた。95年ドラフトでは、高校生ドラフト史上最多の7球団競合という大きなリスクを背負ってでも中日星野監督は指名してくれた。近鉄の指名を拒否して進んだ日本生命時代にも、動向を常に見ていてくれた。思いに応えるように逆指名で中日に入団。プロ1年目には、気を使って福留がトレーナールームに行かなかったことを知り、トレーナーを叱った場面を見たこともある。1年目にいきなり優勝。内野手から外野手への転向を決断してくれたのも星野さんだった。

 福留 この世界に入るすべての道を作ってくれた。きっかけもすべて与えてくれましたし、ここまで野球ができるというのも。星野さんがいなければ僕がこの世界でやることはなかったですし、僕のなかではすごく大きな存在だと思っています。

 日本のトッププレーヤーから、メジャーリーガーにまで上り詰められたのは、星野監督との出会いがあったから。訃報を聞いた直後には福留のメンタルをもってしても「どうしよう、どうしようというのはあった」と動揺した。星野監督を弔う特別な試合。天国で笑う姿を想像し、77番を背負って走り回る。【池本泰尚】