1軍初昇格を果たしたヤクルト雄平外野手(33)が決勝打を含む3安打を放った。2-2の延長10回1死三塁、阪神ドリスの外寄り150キロ直球を逆らわずに左前へ運ぶと、小さくこぶしを握りしめた。「(山田)哲人が出て(山崎)晃大朗が送ってくれたので、何とか気持ちで打ちました」とほおを緩めた。

 待ちに待った“開幕”だった。オープン戦期間中に下半身のコンディション不良を訴え、2軍暮らしが続いた。1軍の試合は、テレビ画面を通じて見守った。視線で追っていたのは、奮闘する仲間ではなく、その相手。「相手の投手とか相手のチームとかを見ていた」と、自分が1軍の試合に出るための“準備”としてとらえてきた。

 だからこそ、力まず試合に入れた。3打席目に今季初安打を放つと、続く青木の左前打で一気に三塁を陥れる好走塁を決めた。決勝打の場面も、「フォークが抜けていたので真っすぐが来るかなと思っていた」と持ち前のフルスイングを封印し、軽打ではじき返した。「状況、状況で考えて、やることをやろうと思っていた」。昇格即スタメンでも力を発揮できるよう、頭と心の準備も整えていた。

 雄平の活躍もあり、チームの連敗は3でストップ。負ければ借金生活に突入するところで踏みとどまった。小川淳司監督は「よく打ってくれた。比較的力む方なんだけど冷静に打席に入ってコンパクトに振れていたと思う」とたたえた。それでも雄平は「今日が僕自身の開幕でもあった。びっくりするぐらいの結果が出た。いいスタートがきれた。少しでもチームの力になれるように頑張ります」と結んだ。雄平の復帰で、ヤクルト打線の厚みが増した。