苫小牧駒大が2-0で旭川大を下し、14年春以来8季ぶり2度目の優勝を果たした。昨春、チームに加入した伊藤大海(ひろみ、2年=駒大苫小牧)が、前日26日に続き旭川大戦2試合連続先発登板。9回6安打18奪三振で完封し、勝利を呼び込んだ。全日本大学選手権(6月11日開幕、神宮ほか)に4年ぶり2度目の出場を決めた。

 マウンドで両手を高々と突き上げた。苫小牧駒大の伊藤は、9回最後の打者から三振を奪うとバックに向かって喜んだ。「ゼロで守ってくれてありがとう」。チームを8季ぶりの王者へ導いた右腕は、駆け寄ってきたチームメートと抱き合った。

 前日26日の旭川大戦も先発し、6回15奪三振無失点でコールド勝ちに貢献した。この日も150キロを超える直球に90キロ台の変化球を織り交ぜ、相手打線を手玉に取った。1点リードで迎えた6回1死二、三塁のピンチにも動じない。「自分がゼロで抑えれば負けることはない。三振を狙いにいった」と、一気にギアを上げて連続三振。毎回の18奪三振の力投に、大滝敏之監督(64)は「苦しい展開でしたが、大海が粘り強く投げてくれた」とたたえた。

 駒大苫小牧2年時の14年春甲子園で1勝。駒大進学後、中退して昨春、苫小牧駒大に再入学した。規定により、昨季は公式戦に出場出来ず、黙々と練習する日々。それでも「しっかり戦えるカラダをつくれた。自分にとっていい1年だった」と、苦境をプラス思考で乗り切った。今春のリーグ戦8試合で52回を投げ、6勝を挙げる活躍でチームをけん引した。

 チームにとって4年ぶりとなる全日本大学選手権は、12日の初戦で日本文理大(九州地区北部)と対戦する。神宮のマウンドは高校1年時の13年秋以来。「久々の全国なので楽しみたい。自分の今持っているものすべてを出し切りたい」。満を持して、全国に乗り込む。【山崎純一】