中日のドラフト1位・根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)が大器の片りんをのぞかせた。

20日にナゴヤ球場に隣接する室内練習場で、初のフリー打撃を行い、23スイングで安打性の打球は12本。5割以上の確率で鋭い当たりを見せた。打撃投手を驚かせる打球も飛ばし、ミート力とスイングの力強さを披露。上々の初打ちとなった。

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開始早々、室内練習場に叫び声が響いた。「ウワーッ!」。根尾の放ったワンバウンドの痛烈な打球が、ブルペン捕手兼任の赤田打撃投手横を強襲した。避けようとして、思わずマウンドに倒れ込んだ。「ライナーなら当たっていた。速かった」と振り返る。根尾が春夏連覇を達成した夏の甲子園後も、トレーニングを欠かさなかったことは明白だ。スイングは力強く、スピードがあった。23度振って、安打性の打球は12本。打率で言えば、5割2分2厘だ。

投手の生きた球を打つのは、今年初めて。それでも、根尾は納得しなかった。「全然…、できあがり具合はこれからだと思うので、しっかり振っていきたいと思う。良くなかった点の方がもちろん多いですし、言い出したらキリがない。いっぱいありますね」。15日から合同自主トレに合流し、2年目以降の選手の打撃を見る機会も増えた。プロで通用する打撃の分析を開始し「投手のレベルも当然上がりますし、捉えきれない部分も必ず出てくる。インパクトを強くするのは金属バットよりも大事になると思う」。この日はしっかりとバットを振ることをテーマとした。

長打の量産を予感させる言葉があった。赤田打撃投手が印象を語った。「前が大きい。力強さがあったのは、意外だった。それでいて、あれだけ(ボールに)コンタクトしていた。いいバッターだと思う」。長距離打者特有のフォロースルーを描いていた。フリー打撃初日に大器の片りんをのぞかせた。「まだまだレベルは低いですし、実戦で打てるように準備していきたい」。根尾は謙虚な姿勢を崩さないが、期待は膨らむ一方だ。【田口真一郎】

 

<主な高卒新人の初フリー打撃>

◆08年中田(日本ハム) 1月20日、鎌ケ谷での新人合同自主トレで22スイング。15本が弾丸ライナーで「自分でもびっくりするくらいよかった」。矢野打撃投手も「日本人離れしている」とびっくり。

◆09年大田(巨人) 1月21日、ジャイアンツ球場の室内で43スイング。河本打撃投手のボールを気持ちよさそうにはじき返し「めっちゃ打ちやすかったです」。

◆13年大谷(日本ハム) 1月20日、鎌ケ谷の室内練習場で19スイング。ゴロは4球だけだったが「逆方向だけこすり気味だったので、もっとバットを立てて打てたらいいですね」と不満げ。

◆16年平沢(ロッテ) 1月16日、ロッテ浦和で69歳の池田寮長兼打撃投手と「対戦」。3本の柵越えに「打ちやすい。3本では物足りないくらいだった」。