今季から伝統のエースエースナンバー「18」に変更する巨人菅野智之投手(29)が、自身が思い描く「エース論」を示した。

前日21日に自主トレ先の米ハワイから帰国し、22日は川崎市のジャイアンツ球場で自主トレを再開。4年連続で優勝を逃した現実を直視し、エースの矜恃(きょうじ)を持ちながら、チームを変革する。

背番号18への変更が決まった瞬間から、菅野は「エースとは」の究極の問いの答えを模索し続けた。小学生から各ステージでエースを張ってきた。巨人でも絶対的地位を確立したが「エースとは」の問いは難題だった。

菅野 以前にも聞かれましたが、本当の答えが見つかってなくて。でも、18をいただくことになって、あらためて考えた。最近になって、これだと思った。

(1)勇気、希望

「高校野球とかを見てると、劣勢の時や格上が相手でも、エースの投球がチームに力以上のものを与えたりする。現状を打破し、チームに勇気、希望を与えられるのがエースだなと」

98年夏の甲子園では横浜高の松坂(中日)、昨夏は金足農の吉田(日本ハム)が自らの投球で試合の流れを支配し、劇的な勝利でチームを押し上げた。

(2)信頼と安心感

「極論で言えば、マウンドに上がる前にエースの仕事は終わっていると思う。試合前に、周りが「菅野なら大丈夫」「何とかしてくれる」と思ってくれるか。そんな雰囲気を作れるのがエースなのかなと」

突出した能力、成績は必須事項とした上でチーム内での存在感の重要性を強調した。

(3)勝つ

「(1)、(2)の要素を持っているということは、すなわち勝てる投手」

投球でチームを勢いづかせ、安心や信頼感を与えるとともに目に見える白星の重要性も強調した。

物事の考え方は多種多様で、エースの概念も「人それぞれだと思う」とも付け加えた。自主トレ先の米ハワイから帰国翌日のこの日は、休養日を挟まずに即自主トレを再開。白のトレーニングウエアで、まだ背番号のない背中でもエースの姿を示した。【久保賢吾】