目の前に広がる光景に、心が沸き上がった。清宮がプロ2年目で、初めて札幌ドームのお立ち台に立った。「待ちに待ったというか、ずっと立ちたかった」。質問には「はい」と返事をしてから答える、堂々たる姿。

「リハビリの期間は、たくさんの方に支えてもらった。その方たちの力がなければ、ここに立てていない」。右手有鉤(ゆうこう)骨骨折からの復帰。今季初の本拠地には、最高の舞台が用意されていた。

ヒーローにふさわしい、価値ある仕事をした。3点を追う4回1死二、三塁。ロッテの先発涌井に2球で追い込まれたが、冷静に狙いを定めた。捕手江村が中腰で構えた、外角高めのボールゾーンへの139キロ直球に反応。鋭い打球は右中間を破り、2点適時二塁打になった。「前の方たちが出てくれたおかげで、ただの安打が打点になっている。本当に感謝ですね」。復帰から4試合連続打点も、1軍の野手最年少は謙虚に頭を下げ続けた。

勝負強さの根底には「楽しさ」がある。リハビリ中は、欠かさずに1軍の試合をテレビ観戦し、イメージトレーニングを重ねてきた。昇格後は5度の得点圏で、4度走者をかえしている。プレッシャーをはねのけ「チャンスは楽しい」と言い切る。昨季までチームメートのレアードも「力はもちろんあるけど、何よりも楽しそうにプレーする姿が良いよね」。“すしボーイ”も認める、清宮の武器だ。

チームを連勝に導く活躍に、栗山監督は「あの1点は、とても大きかった」と評価した。1万7557人の観衆が見つめる中、清宮はお立ち台で誓った。「チームに貢献して、日本一に向かって必死にやりたい」。まだ見ぬ楽しさを求め、歩んでいく。【田中彩友美】