ローテーションの谷間に花が咲いた。ソフトバンクの14年ドラフト1位松本裕樹投手が6回3失点で今季初勝利を挙げた。

3回には自己最速を1キロ更新する151キロをマーク。「中継ぎで(150キロは)1度あったけど、先発で出たのはいいこと」と笑った。

昨年はわずか1勝。通算でも3勝とドラフト1位として期待を裏切り続けてきた。盛岡大付時代に150キロを出したが、右肘を痛めたままプロ入り。150キロ右腕のイメージだけが一人歩きしていた。「僕にはずばぬけてすごいものはないが、その分いろんな球種を使えたりするのが長所」。スライダー、カーブ、フォークと磨いた変化球を投げ分け、持ち前の制球力も発揮した。

1軍で活躍するために試行錯誤した。自主トレでは腕をサイド気味に下げた。「今までとフォーム的に違うが、いいものを取り入れている」。プロ5年目は結果にこだわり、剛腕に成長した。

指名打者が使えない神宮で高校通算54発の打力も発揮。3回にはライナーで左翼に二塁打。4回には投手の前に絶妙のセーフティースクイズも決めた。工藤監督も「投打にわたって活躍してくれた。球の力があった」とほめたが、3回に2連続悪送球した部分は「練習してもらいます」とくぎを刺した。

大卒1年目のドラフト1位甲斐野とは同学年。松本は「ここから続けてローテーションに入りたい。甲斐野や近い年の先輩も活躍している。負けられない」。今季2度目の先発のチャンスをものにし、交流戦首位を守った。【石橋隆雄】