ソフトバンク二保旭投手(29)が、プロ11年目で先発として初白星を挙げた。プロ4度目、今季3度目の先発で最多の100球を投げ6回1失点と好投した。

試合後、ロッカールームに戻ると出迎えたエース千賀に向かって「お前のプレッシャーに勝ったわ」と笑顔で伝えた。前日4日、その日登板する千賀から「勝って連勝で渡すので、止めないでくださいね」と約束されていた。

千賀はしっかり勝ち投手になり、バトンを渡された。相手はリーグ屈指の好投手オリックス山本との投げ合い。「いい投手なので1点でも少なくと心がけた」。3回に内野ゴロの間に1点先制されたが、6回まで追加点は許さなかった。

工藤政権1年目の15年は150キロ超の直球を主体に力でねじ伏せた。どんなピンチにも動じない精神力を買われ、44試合中継ぎで投げ6勝を挙げた。だが、翌16年4月に右肘をトミージョン手術。2年間1軍登板できなかった。18年に中継ぎで35試合投げたが、昨年オフ、首脳陣からは中継ぎだけではなく先発も準備するように伝えられていた。

巨大戦力の中、生き抜くためにこの日も多投したツーシームなど手元で動かす投球スタイルに変えた。独学で握りを学ぶなど、誰にも頼らず「今はスピードよりも高くいかないように意識している」と先発型の新スタイルを完成させた。

「中継ぎで勝った時とはまた違いますね。ウイニングボールは両親へ贈ります」と笑った。08年育成2位で入った育成出身右腕が手薄な先発陣に厚みを出している。【石橋隆雄】

◆二保旭(にほ・あきら)1990年(平2)5月18日生まれ、福岡県生まれ。九州国際大付から08年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。12年途中から支配下選手となり、同年9月13日の楽天戦でプロ初出場。15年5月3日オリックス戦でプロ初勝利。182センチ、75キロ。右投げ右打ち。