社会人野球の第90回都市対抗野球大会が、13日に東京ドームで開幕する。3年ぶり40度目の出場となるヤマハ(浜松市)は、14日の1回戦で七十七銀行(仙台市)と対戦。都市対抗出場を懸けた東海地区2次予選(5月)で活躍し、チームのエース格へと成長した近藤卓也投手(24)は、持ち味の力強い直球を武器にチームの勝利を呼び寄せる。

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近藤は、チームの3年ぶり都市対抗出場の原動力となった。永和商事ウイング(四日市市)との予選2回戦に先発。初回に先制されたが、粘投で7回2失点にまとめ勝利に貢献した。勝てば予選突破となる東邦ガス(名古屋市)との地区第1代表決定戦では、先発して7回1失点の好投。チームの逆転勝ちにつなげた。「全体を通して、先制されても割り切って冷静に投げられた」と振り返った。

高校時代は名門・秋田商のエースとして3年夏に甲子園出場。16強入りを果たした。青学大を経て、2017年にヤマハ入社。前年の日本選手権を制したチームで序盤こそ出番を与えられたが、徐々に登板機会は少なくなった。「モチベーションが下がっていた」と話す昨夏に転機が訪れた。首脳陣が交代し、かつて河合楽器やヤマハの左腕エースだった石井隆之投手コーチ(46)が就任。近藤は新たな教えを受けた。

それまでは制球重視だったが、速球の威力に気づいた石井コーチから「力で押すスタイルに変えろ」と助言を受けた。教えを実践し、昨秋の伊勢大会のパナソニック(門真市)戦で9回完封勝利。手応えをつかんだ。冬には「投手は投げないと成長しない」(石井コーチ)と指導され、走り込みなどのトレーニング中心のメニューを投げ込み中心に変更。持ち味の直球に磨きをかけ、3年目の飛躍につなげた。

急成長をとげ、チームからの信頼も高まった。初めて挑む都市対抗では初戦先発が有力。「まだ分からないが、できれば投げたい。任せられたら、チームの力になれる投球をしたい」と意気込んだ。【河合萌彦】

◆近藤卓也(こんどう・たくや)1994年(平6)10月28日、秋田県生まれ。秋田商高では2年春からエースを務め、3年夏に甲子園出場。2試合に先発し、初戦(2回戦)の福井工大福井戦で6回3失点で勝利投手となった。青学大を経て、17年にヤマハ入社。今年5月の都市対抗東海地区2次予選で2試合に先発し、計14イニング3失点と好投した。右投げ右打ち。187センチ、88キロ。