今季限りでの現役引退を決断した巨人阿部慎之助捕手(40)が、聖地と別れを告げた。阪神戦の行われた24日が、現役最後の甲子園。阪神藤川とのオール直球勝負に豪快なスイングで沸かせた。

プロ入り19年、強打の捕手として通算2000安打、400本塁打を達成し強烈な輝きを放った。25日に都内ホテルで会見を行う。

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聖地が温かく包み込んだ。9回無死、阿部が代打で登場。虎党からも360度の「慎之助コール」で迎えられた。マウンドには幾多の名勝負を繰り広げてきた藤川。直球勝負を受けて立った。

2ボール1ストライクからの148キロ内角直球は右翼ポール際へ大飛球。最後は146キロ直球をマン振りの空振り三振に倒れたが「球児も打たせようと思ってくれて、コントロールを乱してたな。ありがたい」と対戦に酔いしれた。

22日のヤクルト戦前に原監督と会談し、その席で大きな決断を下した。同僚には23日の試合後、ミーティングで報告した。一夜明けで臨んだ伝統の一戦。高校時代は届かなかった聖地での現役ラストプレーに「高校生で出た人は誇りに感じていると思う。俺はプロになってから同じことを感じている」。銀傘、黒土、鮮やかな芝生に別れを告げた。

WBC、北京五輪の日本代表メンバーにも名を連ね、球界の中心も担ってきた。宿敵のファンからの計らいに「ジャイアンツファンはもちろん、阪神ファンも全体でコールしてくれて感激しました。本当にありがたい」とヘルメットをとって敬意を表した。

クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズと戦いは続く。平成を代表するレジェンドが花道を歩き出した。【為田聡史】