阪神が海外フリーエージェント(FA)権を保有して今季3年契約を終えた中日大島洋平外野手(33)を、今オフ補強の有力候補に挙げていることが22日、分かった。FA宣言した場合に備えて本格調査に入る。球団は若手野手の成長をうながす方針を掲げるが、先行きが不透明な状況。主力の福留と糸井も高齢化し、打線強化を図るためにも、今季リーグ最多安打のヒットマンの獲得を模索する。

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覇権奪回を目指す阪神がFA市場の参戦を模索している。球界屈指の安打製造機で中日主力の大島を今オフ補強の有力候補に挙げていることが判明した。大島は16年に国内FA権を取得し、そのオフから3年契約を結んでいた。今年は契約最終年。18年に海外FA権を取得するなど去就に注目が集まる実力者の1人だ。

阪神はFA宣言した場合に備えて、本格調査を進めていく。33歳の大島は今季、3年ぶりに全143試合に出場。174安打で最多安打のタイトルに輝いた。打率3割1分2厘はリーグ4位。またリーグ3位の30盗塁が示すようにベテランの域に入っても健脚が光る。シーズン無失策の名手として過去に6度、ゴールデングラブ賞に輝いた鉄壁の守備は、広い甲子園でひときわ映える。

チームは6連勝締めで昨季の最下位から3位に躍進した。だが、矢野監督は18日、藤原オーナーへの報告会後に「いまのタイガースはまだ強くない」と話していた。藤原オーナーも「打撃面を強くしていく必要がある」と指摘。大島は理想的なプレーヤーの1人だろう。8年連続で規定打席に達し、通算1442安打を誇るヒットマンだ。今季、ルーキーで活躍した近本と守備位置が重なり、俊足巧打のタイプも似るが将来を見据えて獲得を検討する。

来季は外野の主力を張る福留が43歳を迎え、糸井も39歳になる。頼れるベテランだが、高齢化し、長丁場の1年間フル稼働が難しくなってきた。一方、近本は26歳シーズンで、高山は27歳になる。中谷ら若手の強化を図るが成長の先行きは読めない。来年11月に35歳の大島は脂が乗る。年齢構成を考えても「中堅クラス」でバランスのいい立場にある。愛知出身だが、実は大阪に縁もある。日本生命在籍時の拠点で、いまも自主トレを行うなどゆかりの地だ。

今秋ドラフトは6選手を指名し、上位5人が高校生だったため、来季補強は海外球界とFA市場で模索する。今季で退団する鳥谷の推定年俸4億円と引退したメッセンジャーの3億5000万円が宙に浮き、資金面にもゆとりが出る。日本シリーズ後は、いよいよFA戦線が本格化。新外国人野手の補強と並行しながら大島の動向を見定める。

◆大島洋平(おおしま・ようへい)1985年(昭60)11月9日、名古屋市生まれ。享栄-駒大-日本生命を経て09年ドラフト5位で中日入団。12年に32盗塁で盗塁王。ベストナインにも輝いた。ゴールデングラブ賞は11、12、14~16、18年の6度。今季は174安打で最多安打を獲得した。176センチ、75キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸は1億8000万円。