プロ野球の12球団合同トライアウトが12日、大阪シティ信金スタジアムで行われ、これまでに戦力外通告を受けた43人が参加した。カウント1-1からのシート打撃形式。ヤクルト山川晃司捕手(22)は異例の投打二刀流で参加し、投手としては打者3人から2奪三振で3人をピシャリ。打者としては3打数1安打1四球だった。

今年から参加は通算2度までに限られ、獲得希望球団は当日から5日以内に連絡をする。

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野手としての出場に備えるため、26投手の中で山川が最初にマウンドに立った。先頭のオリックス宮崎を二飛に打ち取ると、日本ハム森本をスライダーで見逃し三振。元西武藤沢もフォークで空振り三振に仕留めた。「結果は一応、良かったかな。球場についてトップで戸惑いもありましたが、すんなり入れました。いいところに落ちた」。フォームは捕手風の自己流だが、過去の最速は145キロ。ユーチューブで覚えた元ヤクルト伊藤智仁のスライダー、ソフトバンク千賀のフォークの握りを生かした。

打者としては食らい付いて右前打を放つなど、3打数1安打だった。捕手としてマスクもかぶり「今年はシーズンでもほとんどやっていない。楽しかった」。盗塁を許す場面もあったが、笑顔で振り返った。

今年3月、肩の強さを見込まれ、高津2軍監督(当時)から投手兼任の二刀流転向を打診された。5月に腰のヘルニア手術で戦列を離れ、復帰は9月。わずか2カ月でイースタン・リーグ1試合の投手経験だが「両方をやっていたので、どちらかを消したくなかった。可能性を広げる意味で」二刀流でのトライアウト挑戦を決めた。中学、高校で投手未経験ながら投球で最高の結果を残し、吉報を待つ。【斎藤直樹】