出世街道歩みます! 阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)が25日、大阪・豊中市の同校で卒業式に出席し、学業や部活で優秀な成績を収めた生徒に与えられる「履正校鳴賞」を受賞した。

同校の先輩で10年パ・リーグ本塁打王のオリックスT-岡田や、トリプルスリー3度のヤクルト山田哲らも獲得した「タイトル」。偉大なOBの一角に名を連ねる日を夢見て、井上が学舎を巣立った。

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少しだけ、先輩たちと肩を並べた。井上は「皆勤賞は取ってませんが…、『履正校鳴賞』を頂きました」と顔をほころばせた。昨夏の甲子園大会で悲願の初優勝を果たした野球部からは、エースだった清水大成投手(3年=早大進学)とともに受賞。「先輩であるT-岡田さんや、山田哲人さんのような球界を代表するような選手に1日でも早く近づけたら良いなと思います」。ともに本塁打王になった2人。高校通算49発の井上もいずれは目指す場所である。アマでの肩書ながら偉大なOBたちに並び、背筋が伸びた。

履正社での教えを忘れない。3年間、岡田龍生監督(58)の下で人間性の大切さを学んだ。「生活面とか怠ったりしたら、野球にも影響が出てくると思う。中学までは脱いだ靴、スリッパをそろえるとか生活面での成長が出来ていなかった。履正社に入って、野球だけでは試合に使ってもらえないし、私生活というのを大事にしないといけない」。当たり前の事を当たり前にする。先輩たちも吸収してきた教えは自身の土台となりプロの世界につながった。

この日は卒業生348人を代表して卒業証書を受け取った。式後はあっという間に約100人以上の同級生に囲まれた。阪神の新人合同自主トレを休んで紺色のブレザーに着替えても、立て続けに「ファンサービス」。サインに写真撮影と大忙しで「クラスの子とかに、写真撮ってとかサインとか言われて。自分の時間はなかったです」と苦笑いした。アルバムに寄せ書きをもらう卒業式恒例の時間は割愛。友人たちと高校生活最後の時間を楽しんだ。

2軍の高知・安芸で迎えるキャンプインは目前だ。右足首捻挫の影響で出遅れはしたが、いよいよプロとして本格的な指導を受ける。「本塁打にこだわっているので、まずは本塁打王を取りたい。岡田先生の期待に応えられるようにしたい」。活躍こそ恩返し。母校の栄誉ある「タイトル」を胸に名を残す選手になる。【望月千草】

◆履正社野球部の主なOB T-岡田や山田哲のほかにも、球界に卒業生を多数輩出してきた。前身の福島商からは、益山性旭が77年に阪神入団。主に救援で通算167試合に登板した。岸田護は06年オリックスに入団し、09年には10勝、11年には33セーブをマーク。現役では、阪神の坂本誠志郎が梅野に次ぐ2番手捕手として存在感。ロッテの安田尚憲は2年目の昨季、イースタン・リーグで19本塁打と力を付けてきた。また、80年代に漫才ブームの一翼を担った「おぼん・こぼん」のおぼんは、福島商時代に野球部員だった。