楽天の20年シーズンが幕を開けた。1日、沖縄・久米島でキャンプイン。今季、抑えから先発に転向する松井裕樹(24)が、初日からブルペン入りするなど精力的なスタートを切った。

楽天の守護神から先発の柱に。そして7月に行われる東京五輪でも、先発での侍ジャパン入りを目指す意気込みだ。

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決意は固めた。松井は新たな思いで、慣れ親しんだ久米島野球場ブルペンに足を踏み入れた。低めなどコースは意識せず、体に負担をかけず、自然体で高めの直球を中心に64球を投げ込んだ。「仙台が寒くて体が動かなかったので、暖かくケガのない状態で投げられたのでよかったです」と納得の表情で、キャンプ初日を振り返った。

先発転向へのアジャストは着実に進んでいる。「そもそも自分はテンポが悪いんで」と、岡島豪郎捕手(30)から返球されると、意識的に短めの投球間隔を心がけた。報道陣から「いつもより早かった」と指摘されるとニッコリ。セットポジションから反動がつかないノーワインドアップに変更することで、スタミナ対策にもぬかりがない。

投球スタイルも変えるつもりだ。これまではクロスファイアから右打者の内角、左打者の外角を投球の柱としていた。しかし「一塁側の直球を大事にしたい。あとはカーブ」と試行錯誤しながら最適な形を探していく。抑えでは慎重に行かざるを得ないため、球数を要したが、「ストライクを先行させて2巡目、3巡目からはより配球を考えていきたい。あとは実戦でスタミナをつけていきたい」と開幕までの青写真を描く。

チームとして、昨季の3位からの浮上はもちろん、野球人としても大きな目標がある。7月の東京五輪出場だ。11月のプレミア12では、左肘の違和感のため大事をとって辞退した。15年大会は準決勝で敗退し「代表への思い入れは強いので、リベンジするためにやってきた」。それだけに、自らが不在での優勝は最高の刺激になった。先発でも適性が発揮されれば鬼に金棒だ。短期決戦において、先発、ロングリリーフ、抑えと全てに対応できる万能型は、侍ジャパンにとって最高の武器になるはずだ。「オリンピックで金メダルをとりたい」。熱い思いを胸に、7年目のシーズンに挑む。【野上伸悟】