日本ハム王柏融外野手(26)がガッツ塾入門で4割打法を取り戻す。6日の沖縄・名護キャンプで、打撃投手を務めた斎藤佑樹投手(31)から17スイングで2本の柵越え。フリー打撃でも好打を連発した。今キャンプでは小笠原道大ヘッドコーチ兼打撃コーチ(46)の助言で台湾時代のフォーム復活に取り組み、手応えは十分。「台湾の大王」が来日2年目の真価発揮を予感させた。

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乾いた甲高い打球音を残し、白球は右中間最深部の芝生席で弾んだ。王柏融の強く、大きく振り切ったスイングから“今季初アーチ”が生まれた。打撃投手を務めた斎藤との対戦での13スイング目。「ホームランは狙っていなかった。強く打とうとした結果、自分のいいスイングができたと思う」。最後の17スイング目も右翼芝生席へ。台湾時代に見せていた力強い打撃をほうふつとさせた。

キャンプ初日からガッツ塾に入門した。小笠原ヘッド兼打撃コーチからは「去年はスイングが小さくなっていたので、早くいい時のスイングを取り戻せるようにしようとアドバイスされました」。具体的にはテークバックの改善。昨季は変化球が多い日本の投手に適応しようとして、最も腕が上がるトップの位置が浅かった。特長の大きなスイングも小さくなる一因となっていたようだ。

同コーチは1月中に王柏融の打撃映像をチェックしていた。2度の打率4割超えを記録するなど台湾史上最強打者と呼ばれた時と、苦しんだ来日1年目を比較。改善点を発見してキャンプインからアドバイスした。小さいスイングになっていたことは王柏融も気づいていたが、テークバックへの意識を持つことで「手応えがあります」。本来の力を発揮する自信も高まってきている。

同コーチは「まだ(助言は)全部は言っていない」と成長の余地を残しつつ「向こうでやっていたことが認められて日本ハムが取ったわけでしょ?まずは、それができるようにしましょうという話。地道にやっていくしかない」と期待した。覚醒へのヒントを得た王柏融も「去年の悔しさを糧にチームに貢献したい」。昨季は故障にも苦しみ、出場88試合で打率2割5分5厘、3本塁打だったが、こんな数字で終わる打者ではない。台湾の大王と呼ばれた打撃を取り戻し、今季こそ日本で躍動する。【木下大輔】

<王柏融の昨季成績>

◆デビュー 3月29日オリックス戦に「5番・左翼」で先発したのが“日本デビュー”で、88試合(先発82試合、代打6試合)に出場した。

◆打撃成績 306打数78安打3本塁打35打点、打率2割5分5厘。長打率は3割2分7厘、出塁率は3割2分1厘。右投手からは打率2割6分8厘も、左投手は同2割2分1厘だった。放った78安打の方向は右46%、中堅29%、左24%。

◆位置・打順 先発した82試合は左翼で51試合、指名打者31試合で、打順は5番が55試合で最多。3番13試合、6番8試合、7番5試合、4番1試合。

<王柏融の台湾実績>

▼王柏融は18年まで4シーズン在籍した台湾ラミゴ・モンキーズ(現楽天モンキーズ)で573安打319打点86本塁打を記録し、通算打率3割8分6厘。16、17年はともに打率4割超で、16年は6冠に輝いた。

▽日本ハム栗山監督 (昨季)1年間経験して「何をしないといけないか」というテーマみたいなものは、はっきりと感じられる。