5変化投法だ。広島一岡竜司投手(29)が7日、シート打撃に登板した。打者8人を無安打1四球に抑えた。新たに取り組む2段モーションに手応えを得たことで、緩急をつけた2パターンの使い分けもイメージ。さらに得意とするクイック投法にもスーパークイックがあり、加えて昨季までのフォームも継続する考えも明かした。5つのフォームを織り交ぜる“幻惑投法”で、勝ちパターン入りへアピールする。

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2段モーションに手応えを得たことで、“幻惑投球”への道が開けた。シート打撃登板の一岡は、最速140キロながら、切れのある真っすぐを投げ込んだ。打者が速さを感じたのは、球質だけではない。クイック投法を交え、カーブやフォークもミックスさせた。持ち前の投球術の幅が広がった。

「周りにゴロゴロ速い投手がいる。(自分は)クイックだったり、緩急だったりで勝負していかないと1軍の枠を勝ち取れない。いろいろあがきながら、ごまかしていきたい」

自分のスタイルを理解している。得意とするクイック投法では「いかに打者に気持ち良く振らせないか」と1秒を切るスーパークイックも駆使。初の実戦登板で2段モーションに手応えを得て、新たな可能性も見えた。「2段(モーション)でもテンポが速い2段をやっていけたら面白い」。さらに昨季までのシンプルなフォームも「面白いなと思います」と継続するプランも明かした。

緩急2つの2段モーションに、2パターンのクイック投法。さらにシンプルなフォームを加えれば、5つの投法となる。さらに格好でも惑わそうとしているのか、「一周回って格好いい」とクラシックスタイルを着こなし。「(ブルペンの)電話が鳴ったら、雪でも行かないといけないので」と気温が1桁に下がった中でも半袖で臨んだ。

昨季も勝ちパターンで起用された実績者だが、今キャンプの序列は高くない。「昨年の成績を考えたら仕方がない」と立場を自覚。だからこそ“幻惑投球”に磨きをかける。佐々岡監督も「やってもらわないといけない投手。(中継ぎ候補が)数的にはしっかりといる中で枠を勝ち取らないといけない。一岡も立場上m分かっていると思う。今年は競争。アピールしていると思う」と厳しい言葉を投げかけながらも、技巧派リリーバーの復活に期待している。【前原淳】