新加入の福田秀平外野手に負けじと、ロッテ井上晴哉内野手もオープン戦初打席でレフトスタンドに放り込んだ。初回2死、楽天松井のひざ元速球をすくい上げた。「秀平さんがうまいように打った。負けていられない」と主砲が続いた。

右中間を意識してキャンプで作り上げながら、しっかり引っ張れた。「自分の中ではまだまだ。その中で反応できています」。反応の良さは集中の証し。「打席では、歓声が聞こえないくらいの時は集中できています」と自覚する。でも今は無観客試合で歓声自体がない。「誰も見てくれない悲しさはありますね」と声のトーンを少し落とす。

ダイヤモンドを1周後、ライトスタンドへと両手を突き上げた。「デモンストレーションです。勝手にやってました」。熱狂スタジアムを想像し開幕を待つ。ベンチで誰もエア・ガッツポーズに気付いてくれなかったことは気にしない。