子供たちにプロのプレーを届け、ファンが集う球場で幕開けを-。楽天の開幕投手を務める則本昂大投手(29)が、20日オリックスとの開幕戦(楽天生命パーク)に向けた胸の内を明かした。

2日、静岡市内で投手練習に参加。この日から多くの小中高が臨時休校に入った中、子どもたちへメッセージを送った。「休校でもなかなか外に出られないし、家にこもりがちになって気分が落ちたりすることもある。そこで僕らがプロとしていいプレーを見せて『すごいな』と思ってもらえたら」。テレビを通して野球の楽しさをアピールできる機会となることを願った。

自身4年ぶり2度目の仙台開幕へ率直な思いも口にした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客でのオープン戦が続くが「チケットを買って心待ちにしているファンの方々もたくさんいますし、その中で勝ちたい」と力を込めた。

目に見えない敵に、もどかしさを抱える。12日まで滞在する静岡でもチーム関係者には宿舎からの外出制限がかけられジムも自由に利用できない。「練習内容が制限されるところもある。配慮はすごく難しい」。

Jリーグの延期など、他競技は公式戦にも影響が出ている。「試合がなくなるのは僕らとしては考えられない世界。僕らは野球をやりたいし、試合をすることが仕事。学生じゃないので個人個人がケアしていければ」。直面する危機を乗り越えるため、プロとしての自覚と責任を再確認する。「ピンチはチャンス」という言葉もある。右腕を懸命に振る。伝えられることは、必ずある。【桑原幹久】