開幕へ準備OK! 阪神西勇輝投手(29)が6日、日本ハムとのオープン戦(甲子園)に先発し、8安打されながらも貫禄のマウンドさばきで5回無失点。新型コロナウイルスの影響で20日の開幕戦開催は予断を許さない状況だが、虎の開幕投手は万全の状態でヤクルト戦を迎えられそうだ。

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どれだけ走者を背負っても、西勇は落ち着き払っていた。5回無死一、三塁。近藤を投ゴロに打ち取ると、本塁生還を狙う松本を鋭い眼光でにらみつけた。三塁にくぎ付けにすると、1-6-3で併殺を完成。最後は4番王柏融を内角への144キロ直球で見逃し三振に仕留め、1点も与えなかった。

「今日は結果よりも内容を重視して、テーマを持って上がったのでそれができて良かった。最後のゲッツーなんかは思い描いていた結果とは違ったけど、それが野球」

8安打されながらも得点圏で抜群の安定感を見せる。それが西勇だ。泰然自若のマウンドさばきで、5回を無失点。開幕に向け、真骨頂の投球を見せた。

春季キャンプの第3クール中に、矢野監督から開幕投手を任された。試合ごとにテーマを掲げ、なおかつ結果も残す右腕に、指揮官は感嘆した。「逆にすごいね。8本打たれてゼロに抑える。最後(の5回)、1点取られる、取られへんはえらい違いなんだけど、しっかり三振で終わったあたりは評価できる。西に関しては任せといて何も心配ない」。投球術にフィールディング、称賛の言葉が次々に並んだ。

新型コロナウイルスの影響でオープン戦は無観客試合となった。3月20日のシーズン開幕も予定通りに開催されるか不透明な状況だ。西勇は登板前日の5日、「ファンの方が試合を見られないのは残念だと思うけど、楽しんでもらえる試合に出来るようにやっていきたい」と話していた。球場に足を運べない虎党に結果で「安心」を届けた。

今は3月20日ヤクルト戦(神宮)に向けて、一心に調整を続けるだけだ。「いろんなことをあと1週間、最後の試合までやっていこうと思います」。次回13日オリックス戦(京セラドーム大阪)を経て開幕へ。虎のエースの準備は整った。【磯綾乃】