阪神藤浪晋太郎投手(26)が5日、ウエスタン・リーグ中日戦に先発し、5回無安打無失点と快投した。ストライクを低めに集め、6奪三振2四球と安定。「欲を言えば、もうちょっとスライダーがキレてほしい」と厳しめに自己評価した上で「全体的には良かった」と満足感も漂わせた。

最速151キロの直球には角度と威力があった。ボールゾーンに逃げる変化球も振らせた。すっぽ抜けた球、引っかけた球はゼロ。4番のドラフト1位石川昂から2打席連続で空振り三振を奪うなど、課題とされた右打者4人も計5打数無安打4奪三振と抑え込んだ。

特に右打者外角低めへの制球が上々だった。2四球も、丁寧に配球した末にフルカウントから与えたものだ。大阪桐蔭の後輩、3番根尾との対決も内野ゴロ2本と完勝。2軍ながら“今季初勝利”も記録した。

「右胸の軽度の筋挫傷」から実戦復帰後、2試合で計8回を1安打無失点。今回でリハビリを完了し、次回は14日からの同オリックス3連戦に先発して7回前後を投げるとみられる。早期の1軍昇格へ、矢野監督は「しっかりした内容の投球があれば、上げようという選択肢に十分なる。続けてくれれば本人がチャンスをつかんでいくことになる」と期待感を隠さない。

この日は5回を64球でまとめた直後、ブルペンで感覚を再確認した。浮かれている暇はない。「ファームでこれぐらい抑えないと1軍では通用しない。今日の投球が普通にできるように、継続できるようにしていきたい」。藤浪は引き締まった表情を最後まで崩さなかった。【佐井陽介】