オリックス大下誠一郎外野手(22)が、プロ野球史上初の本塁打デビューを飾った。15日、出場選手登録され、楽天13回戦(ほっともっと神戸)のスタメンに抜てきされた。「8番・三塁」で先発。同点の2回1死一、三塁で嶋大輔のヒット曲「男の勲章」に乗って打席に入り、フルカウントからの楽天辛島の直球を捉えて左翼スタンドぎりぎりに運んだ。

大下は育成ドラフトを経ての入団で、同ドラフト出身者がプロ初打席で本塁打を打つのは史上初。

バンザイしながらホームインし、一塁側ベンチに凱旋(がいせん)。そこでも両腕で掲げ、思いのこもったガッツポーズ。4-1と一気に試合の流れをつかんだ。

大下はこの日の試合前練習に合流。ウエスタン・リーグ58試合で打率2割1分9厘、2本塁打、21打点の実績が認められ、14日に育成から支配下選手登録された。この日は「THANKS KOBE~がんばろうKOBE 25th supported by岡畑農園」で、チームはブルーウェーブ時代の復刻ユニホームを着用。だが大下の復刻ユニホームは間に合わず、山岡打撃投手の102番のユニホームを借りて試合に臨んだ。

練習後に取材に応じ「やることはいつも通り変わらないので、自分の持ち味をしっかり出していきたいなと」と、1軍への意気込みを語った。出場選手登録されたことで、周囲から大きな反響も。「(メールとか)結構来ました。大学の先輩の大山さんからは『良かったな』と」、白鴎大の先輩、阪神大山から祝福されたことを明かした。

白鴎大足利3年のとき、福岡・北九州市に住む父一雅さんが脳内出血で倒れた。妹が2人おり、一家を支える覚悟でプロの世界に飛び込んだ。「親父の病気もあるので、何としても1日でも早く支配下になりたかったので、なれて良かったです」。大きな声でチーム、自身を鼓舞し、汗と泥にまみれてひたむきに練習してきたのも、家族を安心させたい思いがあったから。次は1軍で活躍し、また家族を喜ばせる。

◆大下誠一郎(おおした・せいいちろう)1997年(平9)11月3日、福岡県生まれ。小倉ボーイズ時代に日本代表として世界大会V。白鴎大足利2年のセンバツ(対東陵)では、春夏を通じ甲子園初の1試合4二塁打を放った。白鴎大を経て19年育成ドラフト6位でオリックス入団。今季ウエスタン・リーグ成績は58試合、178打数39安打(打率2割1分9厘)、2本塁打、21打点。171センチ、89キロ。右投げ右打ち。