広島野村祐輔投手(31)が6回途中8安打2失点の粘投でチームを2カードぶりの勝ち越し&連勝に導いた。この日右肘を手術したことを発表し、今季中の復帰が絶望的となった大瀬良大地投手(29)の5勝に並んだ。長年苦楽をともにし、無念の離脱となった後輩の思いも背負い、先発投手陣の最年長右腕が、チームを勝利に導いていく。

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野村が仲間の思いを背負い、本拠地のマウンドで101球を投げ込んだ。先発として試合を作り、チームを連勝に導いたものの、6回途中で2点目を失ったところで降板となった。右腕は「何とかあのイニングを投げ切りたかった。チームが勝ったのはすごくいいことだが、何とか投げ切りたかった」と悔やんだ。

持ち前の「打たせて取る」投球で、凡打の山を築いた。130キロ台後半ながら、打者へと食い込んでいく直球と、多彩な変化球で的を絞らせず、丁寧にコースに投げ分けた。5回までは毎回走者を出しながらも、後続を断ち、攻撃にリズムをもたらした。佐々岡監督は「あと一押し。粘り強く投げてくれたのは確かですけどね」と一定の評価を口にした。

この日の試合前、チームのエース大瀬良が右肘を手術したことが球団から発表された。手術前に、野村は大瀬良に「焦っても仕方ない。しっかり治して」と伝えたという。体を張って、投手陣、チームを引っ張ってきた後輩右腕について「これからはリハビリになると思う。大地が戻ってくるまでチームを引っ張っていけるように頑張っていきたい」を覚悟を口にした。

野村は2月春季キャンプ序盤に右ふくらはぎを負傷した影響で出遅れ、今季初登板は開幕から約1カ月遅れの7月22日。しかし地道に勝ち星を積み重ね、離脱したエース大瀬良に並ぶ5勝目を手にした。「1戦1戦勝つだけ。上に上がるしかない。1つ1つ勝ちを積み重ねていきたい」。先発投手陣の最年長右腕が、チームを上位へと押し上げていく。【古財稜明】