日本ハムがソフトバンク17回戦(札幌ドーム)で逆転負けを喫し、シーズン76試合目で自力優勝の可能性が消滅した。打線は2回に相手のミスにも付け込んで3点を奪い、逆転するも3回以降は拙攻。守備でも初回と6回はミスが失点につながり、7回に一気に試合をひっくり返された。連勝は2でストップ。西武が勝ったため、順位も再び5位に転落した。

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失意の逆転負けとなった試合後の三塁側ベンチ。たった1人、頭から赤いタオルをかぶり、うつむく選手がいた。平沼だ。小刻みに、肩が、タオルが、揺れていた。金子野手総合コーチから声をかけられた後も、悔しさに打ちひしがれた。

23歳のホープが脳裏で繰り返したのは、2点リードで迎えた6回の守備のシーンだったはずだ。1死一塁で先発杉浦が柳田に対し、二塁へゴロを打たせた。捕球した渡辺が二塁をカバーした平沼に転送も落球(記録は失策)。ソフトバンクの2点目につながり、試合の流れも失った。7回は1軍復帰後の初登板となった公文が1死満塁とピンチをつくって降板。継投した玉井も勢いづいた相手打線を止められなかった。

栗山監督は「今日の(試合の)流れで、取り切らないといけなかった」と振り返った。初回はバッテリーミスにより、無安打で先制点を奪われた。打線は2回に3点を奪うも、3回以降は好機であと1本が出ない拙攻が続いた。勝利の女神は、どちらに転んでもおかしくなかった。ただ、振り向かせられなかったことも、重い事実だった。

44試合を残して、自力優勝の可能性が消滅した。「よく聞く話だけど、ここから全部勝てば、関係ないので」と栗山監督は、そんな話題は一蹴した。野球にミスは付きものだが、取り返すチャンスもまだ、残っている。「それ(ミス)も全てひっくるめて勝って、選手たちを喜ばせるのがこっちの仕事なので」と栗山監督は前を向いた。落ち込んでいる暇はない。大事な戦いは、まだまだ続く。【木下大輔】