左腕が崩壊だ。広島先発の床田寛樹投手(25)が10安打を浴び、自己ワーストの8失点で5回もたずに降板。6敗目を喫した。チームは今季ワースト14失点で大敗。開幕7連敗で2軍再調整中のK・ジョンソンに続き、床田も今季の勝ち星はわずか1勝止まり。中継ぎも含めた左腕の合計勝利数は昨季の32勝に対し、今季は5勝止まり。貴重な左腕の不振が今季のチーム状況を物語る。チームの連勝も「2」でストップした。

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5回裏終了後、神宮の夜空に上がった600発もの花火が、三塁ベンチをむなしく照らした。1点リードの5回、1死一塁から先発床田が山田哲に左越えの逆転2ランを被弾。5連打を浴び、マウンドを降りた。2番手菊池保もエスコバーに中前への2点適時打を許し、この回5失点で試合を決定づけられた。敵地の打ち上げ花火の演出を盛り上げるような、魔のイニングになってしまった。

床田は、立ち上がりから苦しんだ。初回に無死満塁のピンチも招くも、最少失点でしのいだ。同点の2回には西田に2ランを浴びたが、3回に菊池涼の3ランで一時逆転。だが5回は粘れなかった。左腕は「立ち上がりに失点をしてしまい、その後に逆転してもらったのにそこから粘ることが出来ず、守り切ることが出来なかった。情けないです」と猛省した。

今季の広島は、先発左腕を中心に苦戦を強いられている。昨季、チームトップタイの11勝を挙げたK・ジョンソンが開幕7連敗と大スランプ。昨季7勝を挙げた床田も今季はわずか1勝止まり。勝ちパターンの塹江が3勝、フランスアが1勝で、中継ぎも含め、左腕の勝ち星は計5勝(18敗)。昨年の32勝(27敗)と比べても、厳しい数字となっている。

この日は現在1軍先発陣で唯一の左腕が、試合を作ることができなかった。今季ワースト14失点の大敗を招いた左腕に、佐々岡監督は「難しいのは分かるけど、パッと入れない。ブルペンから考えながら入っているんだろうけど、手探りで入っているように感じる。ギアが上がらないというか、コントロールを意識しているのか」と疑問を投げかけた。チームの浮上には、左腕の復活が鍵を握っている。【古財稜明】

 

 

<広島の主な左腕成績>

■20年5勝18敗

K・ジョンソン 0勝7敗 防6・10

床田 1勝6敗 防6・75

フランスア 1勝2敗9S 防2・48

塹江 3勝3敗 防3・21

高橋樹 0勝0敗 防7・36

■19年32勝27敗

ジョンソン 11勝8敗 防2・59

床田 7勝6敗 防2・96

フランスア 8勝6敗12S 防2・76

レグナルト 6勝3敗 防3・34

中村恭 0勝1敗 防2・64

塹江 0勝1敗 防6・10

モンティージャ 0勝2敗 防14・54

▽広島沢崎投手コーチ(今季ワースト14失点の投手陣に)「いいものを出せなかった。登板間隔が空いたりして難しいんだけど、結果を出していかないと生き残っていけない世界。1つ1つアウトを取る意識でやって欲しい」