待ってた1号! 阪神大山悠輔内野手(26)が21年実戦初アーチを放った。ソフトバンクとのオープン戦に「4番三塁」で出場。4回に高橋礼から左翼席へ先制ソロを運んだ。これが決勝点となり、4年連続日本一軍団に敵地で勝ち越した。今春の話題の中心はドラフト1位佐藤輝明内野手(21=近大)ながら、不動の4番はやはりこの男。腰背部の張りで一時離脱したが、ここからギアを上げる。

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主砲の1発が鷹狩りの号砲だった。両軍無得点の4回1死。大山はシーズンさながらの試合状況をイメージした。「オープン戦ですけどシーズンもこういう0点、0点という中でああいう1発が流れを変える」。フルカウントから高橋礼の10球目、シンカーをすくい上げ左翼席へ運んだ。先制ソロで勢いづけ、5番サンズの2者連続弾も呼んだ。

「昨日がすごく自分の中でも良くなくて。結果を見てもそうですけど、内容、自分の中の感覚もあまり良くなかった」

3打席連続空振り三振に倒れた前日5日の試合後、コーチに打撃のアドバイスを受け、自分で映像も見返した。「修正というか。その結果、今日は自分の中でもいい感覚で打席で振れた。そこは一番良かったかなと思います」。微調整して放った実戦1号。2月中旬に腰背部に張りが出てやや遅れたが、観客の入った試合で万全をアピールした。

昨季リーグ2位タイの28本塁打を放った主砲は、対応力も見せた。初回。高橋礼の初球113キロシンカーを見逃すと、続く131キロ直球に完全に振り遅れた。3球目は直球をファウル。4球目、128キロの直球を捉え、結果的に中堅手に好捕されたが、ドーム最深部の右中間フェンス手前まで運んだ。矢野監督も「追い込まれていい感じで打っていた」と褒めた。本塁打を放った4回も88キロのカーブを見せられる中、フルカウントまで粘った。対戦経験の少ないアンダースローから打ったことにも価値がある。「しっかり対応できたっていうことは良かったですし、自分のスイングはどの打席でもしたい」。

阪神がオープン戦でソフトバンクに連勝するのはダイエー時代の03年以来、18年ぶり。状況は異なれど、宿敵巨人が昨年の日本シリーズで4連敗を喫した強敵に敵地で勝ち越した。「今日良かったところもありますし、悪かったところもある。また明日試合があるので、時間をしっかり有効に使いたいなと思います」。主将で主砲の大山に、満足感はない。【只松憲】

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