ヤクルトの2年目、奥川恭伸投手(19)が7日、広島とのオープン戦に先発する。広島は、昨年11月のプロ初登板で3回途中9安打5失点し、KOされた相手。試合後「もっともっとレベルアップしないといけないと思いました」と話した右腕は、どんな投球をみせるか。

奥川のデビュー戦の投球を当時の紙面で振り返ります。(所属、年齢など当時)

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<ヤクルト3-7広島>◇2020年11月10日◇神宮

ヤクルトのドラフト1位ルーキー奥川恭伸投手(19)は、不完全燃焼のデビュー戦となった。本拠地神宮での今季最終戦で、プロ初先発。2回0/3を57球、被安打9の5失点で降板した。シュート回転する球もあり、制球に苦しみ本来の持ち味を発揮できないままだったが、この経験を来季へつなげていく。

球場全体からわき上がるような拍手に包まれて、奥川はマウンドを降りた。「もっともっとレベルアップしないといけないと思いました。頑張ります」。

初めての神宮、初めてのマウンド。1番鈴木誠にカウント3-1から甘く入った148キロ直球を右中間への二塁打、1死一、三塁で松山に先制の2点二塁打を許した。初回に最速148キロを出したが、3回には130キロ台。シュート回転する球も多く、変化球の制球にも苦しんだ。「状態としてはあまり良くなかった。初めてのマウンドにも対応できなかったし、修正が出来ないままズルズルといってしまい、早い回での降板は非常に悔しい」。

1月に右ひじの軽い炎症。8月にも再度ノースロー調整に。大きな痛みはなく「早く投げたい」という気持ちが膨らんだ。星稜時代のチームメートに「投げられないのが、もどかしい」と漏らしたこともあった。それでも練習を積み、食事面にも気を配った。白米だけでなく、タンパク質などバランスよく、朝食から1時間をかけて食べて体重は6キロ増。球の力も増した。

最終戦セレモニーでは高津監督に促され、マイクの前に立った。「1年目の奥川です。今日の試合の反省をしっかりといかして、来年以降はしっかり活躍できるように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」。ここから、奥川のエース道が始まる。【保坂恭子】

(2020年11月11日付日刊スポーツ紙面より)