オリックス吉田正尚外野手(27)が、東京オリンピック(五輪)の主要会場となる横浜スタジアムで特大のオープン戦1号を放った。「2番左翼」で先発し、初回の第1打席でDeNA上茶谷のスライダーを右翼席へ。今遠征で初めて経験した横浜で、相手シフトをあざ笑った。熱望する東京五輪代表入りへ、強烈なデモンストレーション弾。最下位から逆襲し、大舞台へと歩を進める。

   ◇   ◇   ◇

バットが白球を捉えた瞬間、スタンドインを疑う者は誰もいない。1回1死。吉田正らしい豪快な一撃が右翼へ伸びた。

「ボールの下にしっかり(バットが)入って、いい角度がついた。自分のいいスイングができればスタンドまで届く。そういう打席が数多くできれば、納得できるかなと思っています」

上茶谷の内角低めを完璧に振り切り、三塁手が二遊間に陣取るDeNAの極端な守備シフトを無効化するオープン戦1号を運んだ。

昨季、打率3割5分で初の首位打者を獲得しながら物足りなさを感じた部分があった。18年から2年続けた20本超えの本塁打が14本に。「当てにいく形、小手先のバッティング。その場しのぎになってしまった」と悔やんだ。春季キャンプではグリップ部分と芯の間に膨らみがある「バレルバット」を使い、正確なスイング軌道を身につけ、強い打球を求めてきた。

3連戦とも、DeNAは吉田正に対して一、二塁間の網を狭めて右寄りに守った。初戦から一塁内野安打、右前打、「一、二塁間への三塁強襲打」と来て、右本塁打。3回にも、追い込まれてから逆を突く「三塁への遊撃内野安打」。3試合で7打数5安打、1本塁打。段違いのパフォーマンスを見せた。

オープン戦2度目の2番での出場。中嶋監督は「いろんなことができる。向こうのプレッシャーも違います」と吉田正の打順を模索する。プロ初だったハマスタは、東京五輪の主要会場。かつて、五輪への思いをこう語っている。

「野球選手である以上は高いレベルでやっていきたい。経験をした人しか分からないプレッシャーや重み。日の丸を背負って聞く国歌だったり、特別なものがあると思う。そんな場面でプレーしたい」

日本が世界を相手に戦う舞台でも、その打力は武器になる。【堀まどか】

◆吉田正と日本代表 プロ4年目の19年、プレミア12に選出された。1次ラウンドの台湾戦で1回に適時打、スーパーラウンドのオーストラリア戦では7回先頭で同点の起点となる中前打。5試合に出場して20打数4安打、0本塁打、1打点、打率2割。決勝の韓国戦では出場できず、やや消化不良の日の丸となった。

オリックス担当のツイッターはこちら―>

オリックスニュース一覧はこちら―>