日本ハムのドラフト1位伊藤大海投手(23)が史上初の快挙で「日本生命セ・パ交流戦」を締めくくった。

先発した広島3回戦(マツダスタジアム)は6回4安打1失点(自責0)の好投で4勝目を挙げた。交流戦の防御率は0・90でトップタイとなり、球団では16年大谷以来4人目、新人ではプロ野球史上初の勲章。さらに3戦全勝もトップタイで防御率との“交流戦2冠”を達成。道産子ルーキーが、リーグ戦再開へ弾みを付けた。

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交流戦を勝利数(3)、防御率(0・90)の“2冠”で締めくくった伊藤は、早くも先を見据えていた。「交流戦でも、自分としては変わらない1試合1試合だった。そういう風に評価してもらえるのはうれしいですけど、また次に向けて頑張っていけたらなと思います」。新人投手が交流戦で防御率1位となるのは史上初。チームでは16年大谷以来4度目という快挙も、冷静に受け止めた。

また成長を示した快投だった。ハイライトは6回。表の攻撃では好機で打席が回れば、代打が出される予定だった。このシチュエーションは6日巨人戦でも経験。「前回、どっちなんだろうと迷って(マウンドに)行って、初球が本当に危ないボールだった」。事なきを得て3勝目を飾ったが、課題として残した場面。この日も味方打線が効率よく得点を重ねたことで、打席も回り、6回裏のマウンドが用意された。

先頭打者は侍ジャパンに名を連ねた鈴木誠だったが、初球から制球ミスはない。「思い切って投げられた」と内角へ直球を投げ切って見逃し三振。坂倉も内角への直球で詰まらせて一ゴロ、最後は売り出し中の林を空振り三振。「投げる気持ちだけ持って待つ」という、前回は徹底できなかった意識をきっちり体現。「そういうところも勉強できているんだなと思った」と、手応えを残した。

また課題も見つけた。悔やんだのは5回。唯一の失点シーンだが、味方の失策が絡んだものだった。「味方のミスを何もなかったように投げられるピッチャーがエースにふさわしいのかなと思う。そういうところで、あそこは点を取られたくなかった」。理想は果てしなく高いからこそ、交流戦での快進撃にも満足はしない。そんな姿に栗山監督も「相手をしっかり見ながら勝負できるところがすごいところ」とたたえた。

オープン戦で好投し、開幕ローテ入りを決めた思い出の地で、一回りも二回りも大きくなった姿で再び快投した。伊藤は試合後、これまでと同様に「毎日、成長していくことは忘れないようにしたい」と自らに言いきかせた。リーグ戦再開へ向けて、道産子ドラ1右腕に抜かりはない。【木下大輔】

 

○…伊藤は3打数無安打に終わり、プロ初安打は来季以降へ持ち越しとなった。「悔しいっす」。打撃は得意で大学時代はDH解除で打席に立つこともあった。栗山監督からも期待されていたが、2打数無安打だった6日巨人戦を含めて音なし。登板前に「投げている試合であまり打った記憶がないです」と話していたが、この日の試合後も「やっぱダメなんですかね…」と後ろ髪を引かれていた。

 

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