北海道から、ダルビッシュの背中を追いかける。「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」が11日に都内で開催され、日本ハムは1位で、今春センバツの4強右腕、天理・達孝太投手(3年)を指名。奈良・天理市の校内会見場で運命の行方を知った149キロ右腕は日本のエースからメジャーに羽ばたく道を歩き始める。

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北の大地との巡り合いに、達は声をなくした。憧れてやまないパドレス・ダルビッシュ。その右腕がプロとして生まれ育った球団・日本ハムから1位指名された。巨人谷口功一ら過去に外れ1位はいたが、1位本指名は天理初だ。

「ダルビッシュさんはじめ、多くのいい投手が育つ球団だと思っている。しっかり自分のやるべきことをやって、ダルビッシュさんのあとを追いかけていけたらと思います。ダルビッシュさんとマックス・シャーザーとトレバー・バウアー(ともにドジャース)を足して3で割った投手になりたいなと思います」

広々とした北の青空に負けないスケールの夢を、堂々と口にした。

予想を超える指名だった。ドラフト開始前の午後5時前に会見場に着席したが「2位くらいかなと思っていました」と、腰を据えて指名を待つつもりだった。だがいきなり名前を呼ばれ、端正な顔がほころんだ。23年開業の新球場もYouTubeで見て「アメリカ流の球場だなと思っていました。あの球場で投げたいという気持ちはすごく持っています」。新本拠地にも、胸が高鳴った。

日本ハムは「世界の大谷翔平」もメジャーに送り出したが「大谷さんはすごいけれども、自分とはタイプが違う。ダルビッシュさんのアグレッシブさが好きです」と揺るぎないアイドルはダルビッシュ、シャーザー。いずれは同じ舞台に立つのが、達の夢だ。

中学校の卒業文集には「僕は将来メジャーリーガーになり、日本を代表する投手になります。まず、高校卒業後ドラフト1位になり5~7年間日本でプレーをし、23歳から25歳くらいでアメリカの球団と5年100億円の大型契約をして…」と大志をつづった。高校最後の夏を終えた奈良大会後もウエートトレで体重を89キロに増やし、速球の回転数も球速も改良。プロ志望届提出後の各球団との面談でも、メジャーを目指す人生目標を明かしてきた。

ただこの日語ったのは、目の前の達成目標。「日本のプロで経験を積んで、結果出して、誰もが納得する結果を出さないといけない。まずは日本のプロで結果を出さなければと思っています」。初めて訪れる北の大地。「日本一のピッチャーになります」と、曇りのないまなざしを未来に向けた。【堀まどか】

○…単独1位で交渉権を獲得した達は、早くからメジャー志向を公言してきた。球団には、ダルビッシュ(パドレス)や大谷(エンゼルス)ら、メジャーで活躍する選手を輩出した実績がある。吉村GMは「野球選手として、明確な目標を持っているということは、大事なことだと思っています」と、達の思いを好意的に受け止め「潜在能力、将来性でナンバーワンの投手と評価した」と、今後に期待を寄せた。