大器晩成! 広島からドラフト6位で指名された大阪ガス・末包昇大(すえかね・しょうた)外野手(25)が22日、兵庫・西宮市内の同社施設で指名あいさつを受けた。東洋大時代は控えメンバーで無名だったが、社会人で鈴木誠也外野手(27)の打撃フォームを参考にしたことで能力が開花した。遅咲きのスラッガーが、広島で旋風を巻き起こす。

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身長188センチ、体重110キロの末包が、少し小さめのカープのユニホームに袖を通し、笑顔を見せた。社会人の強豪・大阪ガスで4番に座る右のスラッガーは、自身の持ち味について「一番は飛距離です。打球速度もそうですけど、人よりはパワーがあると思ってます」と胸を張った。

巨漢からは想像がつかないほどの俊敏性を兼ね備えている。50メートルは6秒2と快足を誇り、遠投は110メートル。守備では右翼、中堅をこなす。鞘師スカウトは「長打力があって打点も稼げる。体の割に柔らかさもあるし、肩、守備、足もある。みんな、見たらビックリすると思いますよ」と誇らしげに話した。

順風満帆な野球人生ではなかった。地元香川の高松商では通算11本塁打で、甲子園の経験はなし。東洋大ではソフトバンク甲斐野、DeNA上茶谷、中日梅津、オリックス中川、楽天藤井が同級生で活躍する中、末包は控え選手だった。守備固めの途中出場にとどまるなどし、大学の公式戦では通算0本塁打。「結果にこだわり過ぎて、毎日打撃フォームが変わっていた」と当時を振り返った。

鯉の主砲の存在が、末包の能力を開花させた。多くの選手を研究していた中で、社会人2年目の昨季に参考にする選手を鈴木誠に絞り込んだ。「タイミングの取り方、トップの位置だったり、本当に全部。(フォームが)固定されたことで、結果が出るようになった」。2年目の夏から4番に座り、今年7月の日本選手権では5戦7打点の活躍で優勝に導いた。来年からはチームメートとなるだけに「いろいろ話を聞いて、良いところは全部まねしていきたい」と目を輝かせた。

社会人3年目で、今年3月に結婚したばかり。ドラフト会議で指名された直後は「社会人野球継続」も選択肢にあった。そんな中、杏子夫人(28)には「一緒に頑張ろう」、両親には「自分の人生、後悔のないように頑張れ」と背中を押され、プロとして生きる道を選んだ。

下位指名ながら、即戦力として大きな期待がかかる。「栗林くんの活躍は本当にすごい。良い例がチームにいる」。同じ社会人卒で絶対的守護神となった同学年右腕を引き合いに「僕も1年目からチームの中心になれるように頑張りたい」と気合をにじませた。遅咲きの苦労人が、プロで大きな花を咲かせる。【古財稜明】

◆末包昇大(すえかね・しょうた)1996年(平8)5月27日生まれ、香川県出身。坂出市立白峰中の軟式野球部から高松商、東洋大を経て、19年に大阪ガスに入社。2年目夏から4番に座り、今年7月に優勝した日本選手権では5試合7打点の活躍で「打撃賞」を受賞した。身長188センチ、体重110キロ。右投げ右打ち。

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