杜(もり)の都の“忍び”が目立ってきた。楽天西口直人投手(25)が、チームに欠かせないセットアッパーへと成長した。

今季これまで58試合に登板し、4勝0敗、防御率2・39。33ホールドポイントは西武水上と並んでリーグタイ。最優秀中継ぎのタイトルが見えてきた。念願の初タイトル獲得へ期待はかかる。

チームは23日の日本ハム戦から8連戦。「もちろんタイトルは取りたい気持ちはすごくあります。でもチームの状況や他の選手の状況もあると思うので、あまりそこは意識せずに。自分が任された場面をしっかりとゼロで抑えることを心がけてやっていきたい」と意気込んだ。

新たな“忍具”が好調を支える。直球に加え、フォークが軸となっている。鋭く落ち、打者の視界からドロンと消える。夏場からフォームも変更。今までよりもためを作って投げることにより、落差も出てきた。8月は12試合で、防御率0・75。安定感が増してきた。

甲賀健康医療専門学校から16年ドラフト10位で楽天に入団。地道にコツコツと努力を重ね、守護神松井裕へつなぐセットアッパーを任されるようになった。今季は8連戦を含め、残り9試合。CS出場はもちろん、逆転優勝の可能性も残っている。「重要な場面を任せていただいているので、首脳陣の期待に応えたい。残り9試合、全部投げるぐらいの気持ちで過ごしていきたいと思います」と力を込めた。

忍者で有名な出身校の地名「甲賀」や、「西口」の名前から、愛称はニンニン。球団公式からグッズも出て、ファンからは親しまれている。人知れず仕事をこなす忍者とは反対に、強気でド派手な投球。終盤のしびれる場面で、打者を仕留め続ける。【湯本勝大】